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そうだ。家出しよう。十二
コンビニの知識はもちろんある。漫画や本、ドラマでチェック済だ。
添加物沢山で晤郎に見つかったら怒られるだろうイチゴ味のエクレアと、砂糖がどれだけ入っているのか分からないミルクティ、そしてレジの横で並んでいるポテトフライと、肉まんを買った。
「絢斗くん、肉まんとポテトどっちがいいですか?」
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「え、肉。からあげかフランクフルト」
「ふふ。ご自分でどうぞ買ってきてください」
でも肉まんもポテトも両方食べたら他の美味しいものが食べれなさそうだなあ。
エクレアもあるし。
これが紫呉さんなら全部喜んで食べてくれそうなのに。
「こればかりは仕方ないですね」
「めっちゃ不満そう。俺やなかった?」
「そうですね。絢斗くんは、食いしん坊じゃないから食べられないですよね」
「じゃなくて、あいつが良かった?」
意地悪な絢斗君の言葉に、頷く。
そして肉まんにかじりついた。
熱々ではなく、ほんのり温かい程度でちょっとだけ不服だ。
「絢斗くん、私は普通の恋人にはなれないじゃないですか」
「普通の基準がわからん」
肉が食いたいと言っていたのに、優しい彼はフライドポテトを食べてくれだした。
ので、煙草臭い彼の隣に私も座り込んだ。
「しかも私は学も、免許も資格もない。何もするなと生きてきたでしょう」
「おるだけで宝石みたいな存在やけねえ」
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