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そうだ。家出しよう。十四

田舎のコンビニなので、駐車場が広い。トラック二台と、大きなバイクが置いてある。 けれどコンビニの中は、私しかいなかったはず。 どこに彼が? 「嘘ですよ。私のバイクの鍵の隠し場所は、簡単には見つけられないはず」 「だが、おるよ。あのバイク、俺のやし。めっちゃ視線感じる」 「ど、どうしましょう。連れ返される?」 こんなに早く冒険が終わるとは思わなかった。俯く私に、絢斗くんは全然平気そうな明るい声で笑う。 「んなわけないやん。のけ者にされて悔しがってるだろうけど、あんたがあのかび臭い屋敷から出て、万々歳や。だから後ろから監視しとるんやないかな」 「本当ですか?」 「そうじゃなかったら、俺は殺されとるはずや」 「……紫呉さん」 もう一度コンビニの中に入る。 暇そうな従業員一人だけで、やはり人はいない。 雑誌を読むふりをしてしゃがんで辺りを見渡すと、絢斗くんの向こうの壁の方で何かが動いた気がした。 外だ。外にいる。 反対側の壁を伝い、後ろへ回り込んだ。 すると絢斗君を監視している、ヘルメット姿の男がいた。 気づかれないように近づき、そっとお尻を触ってみた。 「ひゃ」 「固い」 「楓!」

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