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そうだ。家出しよう。十

駅弁は、おにぎり二個と卵焼き、ウインナー、椎茸と人参と椎茸の鶏肉の入った煮物。丸々一個、剥いていない蜜柑が入っている、竹の籠に入った可愛らしいお弁当にした。 味は晤郎に敵わないけれど、素朴で美味しかった。 キャッチコピーに『田舎のオカンの味やで』と書かれていて、思わず笑ってしまった。 田舎のお母さんの味は全国共通らしい。 30分ほど揺られ、着いた駅には学生の姿が沢山あった。 セーラー服を揺らしながら改札口に入っていく女の子たちは可愛い。 化粧をしていたり、髪を染めていたり、個性的でおしゃれを楽しんでいる。 私が、10年以上前に女の子の振りをしていたのは、無理があった。 こんなに可愛い子たちに混ざればきっとばれてしまうだろう。 「あの、すいません。ちょっといいかな?」 アイスを食べていた三人組の女の子に声をかけた。 ただ、そのアイスが美味しそうだったからだ。 「このマンションに行きたいんだけど、場所分かるかな?」 女の子たちは一瞬固まったあと、目を見合わせ、互いに肘で突きながら誰か喋るか牽制し合っていた。 「あ、えっと、ごめんね」 私の話しかけ方が気持ち悪かったのかもしれない。 謝って離れようとしたら、その子たちがわざわざ前に回ってきた。 「ここ、まっすぐです。ずっと歩いて、花壇にチューリップが咲いてるところです」

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