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そうだ。家出しよう。十四

「じゃあ、俺はバイクで帰るわ」 「ま、まて。待て待て」 さきほどのコンビニの前で絢斗が車から降りるので、慌てて止めた。 今、リンさんの家からコンビニまでの道のり、始終無言で怖かったじゃないか。 俺一人にするなよ。 「恋人同士、積もる話もあるやろ。俺、晤郎落してくる」 「お前なんて友達じゃねえよ」 ばーかと抓ってやったら、視線を感じて振り返る。 すると、楓がおれをジト目で見ている。 これは、観念するしかない。 「あの、……楓」 「今日は、家に帰りたくないです」 「まじで!?」 「君には話したいことが沢山あるので、ね」 その言葉の意図が変わらず不安になったが、頷く。 「ということで、さっきジョーさんに貰った此処に行ってください」 渡された割引券を見て、飛び上がった俺が車の天井で頭を打ったが、楓も引かなかった。 覚悟を決めて、俺は高速道路の方へ向かう。

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