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二、 一生、女として生きる。けれど恋も愛もしらないままお飾りの立場で生きる。 そう絶望していた矢先、旦那様が病で倒れた。癌だったが発見されたときには脊髄にまで転移していて、最後の方はほぼ寝たきりだった。  毎日せっせと世話をする私に、彼は申し訳なさそうに何度も謝った。 『俺が死んでも君には絶対に苦労させない。君の一生は保証するから』 『……私のことは気にしないでいいから、早く治してください』 一生を保証するぐらいなら解放してほしい。私のことを考えるより自分の治療に専念してほしい。苦労しても良い。苦労してでも……。 私の願いは何一つ叶わないまま、彼は亡くなった。 人はあっけなく亡くなってしまうものだ。毎年、一種類ずつ庭に花を増やして彼の居ない寂しい屋敷をにぎわせることにした。 悲しいよりも虚無感の方が長かった。 「楓さま。ペットでも飼ってみてはいかがでしょうか」  旦那様が亡くなって数年のことだった。私は20歳という若さで、未亡人という立場になった。勿論、両家のために離婚なんてできやしない。  隠せなくなった喉仏や低い声、身体の成長は止められず、最初から隠すつもりだったであろうお屋敷で閉じこもって生きていた。

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