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再会 一

Side:雲仙寺 楓 「ひ、ひい、晤郎さん、晤郎さんっ」 縁側を走ると、晤郎さんがお布団を抱えて駆けつけてくれた。 「どうしました?」 「お、大きなトラックが来た! こんな山の奥に大きなトラックが」  引っ越し業社の名前が大きく書かれたトラック二台が門の前で、『すいませーん』とこちらに呼び掛けてくる。本家でもなければ全くの赤の他人が此処に来るなんて珍しい。  というか少し怖い。 「ああ、引っ越しの荷物でしょう。紫呉さん、インターネットの広告等のお仕事をされるらしく、ここ、インターネットの工事をするって言ってました」 「聞いてないです。私、人前に出られないのに」  トラックが二台。四人の男性がこちらにやってくるのが見えた。 「大丈夫です。俺が対応しますので」 「奥にいますっ」 急いで部屋へ向かうと、今度は空気を切るような爆音がする。 「かーえーでー」 「……紫呉?」 大型バイクがトラック荷台の間を上手に抜けて、こちらにやってくる。 そのバイクを倒し、ヘルメットを投げ捨てて、陸上選手のようにこちらに走ってくる人。  面影だけは残っている。優しそうに少し垂れた眉。 無造作に伸ばした髪が揺れる度に、大型の犬のような圧倒感が伝わってくる。 近づいてくると、蕩けんばかりの笑顔で嬉しそうな紫呉の顔が見えてくる。 体つきは大きくなっているし、この数年で何センチ伸びたのか分からないが、完全に少年から青年になっている。 旦那様は線が細い人だったけど、紫呉は白いTシャツやジーンズからでもわかるほど、しっかりとした筋肉がついている。 「お、大きくなられましたね」

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