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三日通うから 七

「俺も徹夜明け疲れた。楓の隣に寝たい」 「嫌ですよ。来ないでください」 「膝枕―」 いつの間にか現れた紫呉が、起き上がろうとした私の膝に頭を乗せてきた。 「……部屋で寝ます」 「添い寝しますよー」 全く此方の拒否にもへこたれずに、目の下に隈をつけヘロヘロの姿でそう言っている。 昨日の今日でよくもまあそんな不誠実な態度をとれるな、と睨む。 こっちだって、君のせいで全然眠れなかったのに。 鼻を摘まんでやろうと思ったけど、簡単に触れたらいけないと言われていたっけ。 立ち上がって、紫呉の頭を床に落とすぐらいが精いっぱいだった。 「お仕事でお疲れでしょうから、どうぞそこで。私は自室へ行きます」 「疲れてるけどさ、好きな人と寝たら、疲れなんて吹っ飛ぶ感じするじゃん」 「そんな感覚、知りません」 ツンツンした可愛くない態度で拒絶すると、悲し気なワンコのように項垂れ背を丸めると携帯の画面を眺めだす。 「この可愛い寝顔の紫呉を添い寝のお供にするしかないのか」 「消しなさい」 「あ、怒る? 怒っちゃう?」 「いい加減に――」 携帯を奪おうとしたが、先に庭の方から晤郎がやってきて携帯を奪った。 「楓さまが嫌がってることを絶対にやめてください」 「晤郎さん……」 「すぐにお昼を用意しますので、自室へ」 かばってくれたので、言葉に甘えて自室へ戻った。 紫呉は全く反省した様子はない。 「あのさあ、嫌よ嫌よも好きのうちって知らないの? 楓のあの反応は、嫌がってないかもよ」 「嫌がっております」 ばっさり否定した晤郎は、いつも通り落ち着いた声なのに……少しだけ威圧的で紫呉に目で脅しているような、そんな二人の目だけの謎の交戦に、私はさっさと逃げ出した。

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