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三日通うから 十
あんなに真っすぐ気持ちをぶつけられるのは、流石に24時間だときついのではないか。
これから毎日、あんな態度の彼と一緒に居ないといけないと思うと、ちょっと疲れるかな。
そんな私の心配は杞憂に終わった。
「もしもし、今送ったデータ、急いで確認して」
「あー、俺。そっちにさ、このクライアントからの依頼できそうな人、いない?」
「やべ。二時から会議、まじ会議!」
意外と仕事が忙しいらしく、お昼は一緒に食べようと出てくるが、他は自室に閉じこもって電話したり、キーボードを叩く音が響いている。
晤郎にも食費を払ってご飯を作ってもらっているらしく、たまに大きなおにぎりをもって部屋に戻ったりしている。
「彼は何の仕事をしてるって言ってましたっけ?」
「ネットの広告代理店だと聞いております。最近流行りの、ベンチャー企業ってやつですね」
「べんちゃー……」
私にはよくわかりませんが、仕事が順調そうなのは安心した。
そういえば旦那様も朝から出かけて夜までいないときもあったな。
スーツ着て、何人もの部下に指示を出しながら廊下を颯爽と歩いていた。
慕われていそうだし、人望もあった。
私には未だに旦那様の仕事が何かよくわかっていないけど。
けどおかげでのんびり晤郎とミステリー映画を見たりできる。
意外と私の方が犯人を当てたりするんだよね。
晤郎は裏の裏を読んで、読みすぎて、引っかかる。
「このおせんべいおいしいです」
「ああ、紫呉のおみやげです。何のげんこつって名前でしたっけ」
箱のパッケージを裏返して名前を確認するも、食べる手を止めない晤郎。
晤郎が好きだから、買ってきたのだろう。
「でもまあ、あまり同じ屋敷に居ても顔を合わせないなら、それはそれで気が楽――」
「あああ、だめ。楓に触りたい。楓の充電切れたっ」
「……前言撤回します」
せっかくのんびりできると思ったのに、居間に泣きそうな顔で入ってきた紫呉を見てげんなりする。
充電切れたって……触らせたことありましたっけ?
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