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朧月夜と蒲公英 十四

体育座りして、浴衣の裾から少し見える足が寒く感じて擦る。 言わないと返してもらえないわけだ。 「そうですね。あのベッドが似合う部屋に住んでみたいですね。本の中と、朧げな実家の記憶しかないのですが……アンティーク調の家具の中、優雅に紅茶っていいですね」 「よし。叶える。次!」 「ええ!?」 一個じゃダメなんですか。どうしたらいいのか。 「一緒に出るの? 無理やり出るの?」 紫呉はどうしても私をこの屋敷から出したいらしい。古くて大きくて、寂しくて花に囲まれているのに 心が寒くなるこの屋敷を。 「……一緒に出たら、するんでしょ」 「するって?」 「……エッチなこと」 自慢ではないが私の知識は、本の中だけ。 晤郎と旦那様が何をしていたのか理解はしたけど、細かいところまでは分からない。 「……無理やり屋敷から出た方が、晤郎みたいに強引に――っと」 「ん? 何? 晤郎に襲われたの?」 「いえ。晤郎さんが襲われて未遂だったのを見たことがあるので」 旦那様と、とは言えない。これは流石に墓場まで持っていこう。 「したいけど、まあ、するけど、合意させるけど、今はそこは考えないで」 「……ええー、一番考えますよお。だって朝起ちしたとき、処理の方法教えたのは私ですし」 「いや、処理とエッチ違うよね? なんで今その話!?」 「晤郎が、若い男は大体エッチのことしか考えないと……」 「楓も十分若いです!」

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