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朧月夜と蒲公英 二十
見下ろした紫呉の唇が、朧げな夜の中、濡れているように見えて恥ずかしい。
……恥ずかしいのに啄まれた唇を、名残惜し気に気づけばなぞっていた。
少しじんじんと甘く痛む口の中に、信じられないけれど嫌ではなかった。
「……もっと甘い味がすると思っていました」
「あはは。俺のキス、何味?」
「……苦い、煙草の味?」
唇を舐める。そうか、甘くないのは、紫呉が喫煙者だからなのだろうか。
といっても、キスされていた時は緊張していて味わってなんていられなかった。
……というか、さきほどから違和感が。
「あの、立ち上がりたいんですが……」
「ん? 腰が抜けた?」
「いえ。その、なぜ両手で腰を掴んでるのですか?」
がっしり掴まれた腰。その腰に押し付けるように彼の下半身が当たっている。
ぐにぐにと押し付けられる膨らみが、段々と固く厚くなっていくのが浴衣越しに感じられた。
「練習。本番でこの体制で妖艶な楓を見上げたら一瞬で爆せる自信しかないから」
「でも、――っ、あのっ」
下から穿たれて、揺れる。その時にお互い擦れて変な気分になってきた。
熱と熱が擦れたら、快楽と言う摩擦が生まれて――私を刺激してくる。
「へ、んっ、変で、すっ」
「嫌ならやめる。楓が嫌ならしないよ」
腰を掴んでいた手が、後ろへと延びていく。
人差し指が、お尻の窄みを探し出すと擦ってくる。
突いて、刺激を与えてくるけれど優しくてもどかしかった。
「キスを教えてくれたように、楓が好きなことだけ教えて」
「わ、私は……」
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