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花開く/花散る 四

そんなわけないか。楓の目も、更に冷たくなった気がする。 「朝風呂派だったので、先に入られて悔しいだけです」 「じゃあ先に入る? すぐ出るよ」 「……貴方がいたら落ち着いてお風呂に入れないので結構です」 どっちだよ。なんでそんなに不機嫌なんだ。 思い当たることは昨日のイチャイチャしかないけど、でもあれは楓から仕掛けたじゃん。 「じゃあ脱ぐよ。見たくないなら窓から見ないでよ」 ぽいぽいと甚平を脱いで、下着一枚になった。 が、楓の視線は俺に向けられたままだ。 もしかして視姦するつもり? まあいいか、とわざと楓の方を向いて脱ぐと『大きい!』と叫ばれた。 「かえで?」 「お、……大きい」 もう一度言った。しかも両手で長さを確かめられてる。 もしかして、堂々と俺のちんこの長さを図りに来たの? 自分の目の前に両手を広げて大きさを確認しつつ、口をぱくぱくさせている。 ああ、そっか。俺のこの暴れん坊でエッチするもんね。 確かめたくなるか。 「……ちょっとちょん切ってください」 「いやだよ」 「……可哀そうに。頭じゃなくて、そこに栄養が行ったんですね」 「あーもー! かえでってば」 なんで朝からそんなに可愛いんだ。脱衣所から出て、窓に貼りついている楓を捕まえに行った。 すると背が届かなかったのか、わざわざ庭に飾ってる石を台にして立っていた。 そこまでしてみたかったのかよ。 廊下に置き去りにされていた、かえでのお風呂セットを手に持って、手招きする。 「一緒に入ろうよ。俺、アヒルのおもちゃも鉄砲も用意してるよ」 「あ……鏡の横においてあったアヒル、紫呉さんのでしたか。可哀想に、やはり栄養が全て頭からそちらに」 「かーえーでー」 股間をブラブラさせながら、廊下から庭にとびだすと、楓が本気で悲鳴を上げて逃げて行った。

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