79 / 169
花開く/花散る 五
が、浴衣の紫呉と毎年リレーのアンカーだった俺とでは運電の差。
そして晤郎は朝ごはんの準備中。加えて俺は裸。
逃げられるわけはない。
簡単に肩に担いで、脱衣所に連行した。
髪を引っ張られたり噛まれたけど、蚊に刺された程度で全然痛くもない。
「で、本当の目的は何だよ」
「……だから、朝のお風呂の恨みに、サイズを確認しに来ただけです」
視線を大きく逸らして顔を背けられたら、嘘だとしか思えない。
信じろと言われた方が無理だ。
「どうしたの? 言わないと、ひん剥いてアヒルと一緒にお風呂に投げ入れるよ」
「……」
それは本気で嫌なのか、耳まで真っ赤にしながら渋々顔を見上げてきた。
睨んできても、全然怖くない。逆に可愛いぐらいだ。
「その……昨日……」
「うん」
「は、はしたなかったので、忘れてください!」
「却下」
ぎゅっと目を閉じて叫んだ楓は、目を丸くして俺を見上げてきた。
「……え?」
「却下。なんでキスしたの忘れなきゃいけねえの。好きだからしたの。忘れるかよ」
「でも……私は好きでもなかったのに、流されたというか、意地悪と言うか、はしたなくて、不誠実で……」
真っ赤になって今にも泣きだしそうな楓は可愛い。
キスぐらいではしたないとか、どんだけ過保護に育てられたんだよ。
晤郎に飛び蹴りしてやりたい。
「楓、かえで、あのさ、逆効果だから。俺は死んでも忘れないし、見てよ」
ちょんちょんと、楓に視線を下に向けるように促す。
ブラブラとしていた俺の股間の、規格サイズ外のモノが。
まあようは、ちんこが。
楓の可愛い挙動不審な様子に、頭を持ち上げつつあった。
「!?」
「あのね、楓。――興奮したらもっと大きくなるからね」
壁に逃げた楓の耳元に、わざと煽るような低い声で囁く。
「残念ながら、楓と一緒に眠ってたガキの頃から、こうだったんだよ。胸元はだけて胸が見えてたからとか、寝息が顔にかかったとか、そんぐらいでガキの頃から興奮してた」
「……子供のころから変態だったと?」
ともだちにシェアしよう!