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花開く/花散る 六

「好きな人に興奮すんのは、変態じゃねえよ。愛だよ」 俺の熱弁に、分かってるのか分かっていないのか不思議そうな顔をしながら頬を赤らめていく。 「なので、昨日の言動云々の前に、何をしても楓は可愛いんで、気にしなくていいんです」 それよりも、好きでもないのにってさりげなく言ったことのほうがショックだよ。 恋愛感情はないって、まるで自分に言い聞かせるように楓は言っていたけど、なんで俺じゃダメかな。 「あ、俺が旦那様と似てるから恋愛感情もてないの?」 「ちがっ旦那様は、そんなものを見せて追いかけてきたりしないです!」 俺と旦那様の株が違いすぎる。 「そうじゃなくて、君は栄養が残念な分配になってしまったけど、私の自慢の息子で」 「じゃあ息子の息子も自慢に思って」 「真面目に聞いてください!」 流石にふざけすぎた。ので、仁王立ちで聞いてやった。 「……愚弟と年齢も近いのに。向こうはもう結婚してるって聞いて、君は私ではなくて若くてもっと」 「それ以上言ったら、俺の息子が萎むぞ」 「え? ええ?」 なんで俺に結婚とか、女性と結婚させる夢をまだ見てんだよ。 目の前に幸せにしたいって思える相手がいるのに、そんなちっせえ夢、見てんじゃねえよ。 「あんたが今すぐ、男として幸せに生きれて俺が要らないって言うなら、そんな夢物語を見てやっても良かったけど。……無理だよ、楓」 手を掴むと、優しく擦ってから口づけた。白くて筋肉なんて全然ついてない。 簡単に組み倒せるような、弱弱しい手。 「俺の夢は、楓と幸せになることだもん。孫は諦めて」 「紫呉さん、私は」 「『紫呉がそばにいてほしい』って言ってくれたら、世界で一番幸せな男になれるよ。あんたの言葉一つで、俺は世界で一番満たされる」 たった一言でいい。今は押しかけて、無理やり心にノックして入っていってるだけでいい。 けど、俺の人生は楓なしじゃいきていけないって、そこだけは分かってほしい。

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