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伸ばされた手に頬擦りして。七
「でもっは、恥ずかしいです」
えいっと顔を押しやると、紫呉は体を起こして一度頭を捻った。
「うーん。その恥ずかしさは可愛いんだけど、やっぱ一回ぐらいは羽目を外しとこう」
「……あの、こういう行為ってもっと無言で厳かにするかと思っていました」
まじりあう指先でお互いの気持ちを感じ合い、目線だけで伝わる感覚。
お互いの荒い息だけが響く、聖なる夜。
「あはは。小説の読みすぎ。俺は会話しながらしたいけど――でもそれがお好みならば」
冗談交じりで笑っていた彼が、ふと私の片足を持ち上げて脹脛に舌を這わせる。
持ち上げられた足の間を両手で隠すだけで精いっぱいだった私は、彼の顔を見上げることしかできず。
つつーっと舌が這い太ももまで濡らした後、両手を退けられて、快楽で腫れていた私の熱芯を口に含んだ。
「やっ、しぐ、れ、さっ」
足が布団の上を泳ぐ。爪を立ててシーツに波を立てるが、温かい紫呉の口の中で舌が鈴口を舐る度に腰が揺れた。
「す、わないで、吸わないでっ」
両手で紫呉の肩をぽこぽこ叩いていたら、両手を捕まえられた。
そして口が離れると、先走りで口の中から糸が引いているのが分かる。
挑発的に私を見上げながら、彼が舌から上へと舌で舐めていく。
そのまま先端を口に含むと、喉奥まで咥え再び吸いだした。
「はっ、やっぁぁっ」
足をジタバタさせてやりすごそうとしても、どんどん登っていく。
下半身に集まる熱は、足をジタバタさせても、しならせても、逃れられない。
ズっと唾液を絡ませて吸い上げ、口の中で擦れ、頭が真っ白になっていく。
両手は掴まれたまま、高まっていく絶頂。
ジタバタしていた足をのけ反らせ、腰をくねらせながら懇願した。
「でちゃう、でちゃうから、口を――っ」
吸いながら口を離した紫呉に、数回腰を痙攣させながら白濁した液体をかけた。
「――っ」
びくびくと痙攣する私の足の間で、頬に精液をつけられて呆然とする紫呉を見て、死にたくなった。
「すいませ、すいませんっ顔に、顔にかけてしまいました」
「いやあ、悶える楓可愛かったよ。でも飲みたかったかなー」
頬の液体を指先で掬い上げると、舐めた。
「へえ、変な味」
「ぎゃーっ」
急いで、脱ぎ散らかした着物で頬を拭く。
吐き出した汚いものを舐めるとか、紫呉が明日お腹を壊さないか心配だった。
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