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伸ばされた手に頬擦りして。九

「え、何、えー―っしぐ、れさっ」 ぼーっとして、快楽に呑み込まれていたのに現実に引きずり出される。 後ろに侵入してきた指の異物感と同時に再び、前を咥えられた。 流石に同時に弄られるのは、快感が大きすぎて怖い。 気持ちいい……のかもしれないけど、足ががくがくして自分の身体なのに知らないことだらけで、萎縮してしまう。 身体を捩って丸くなると、紫呉が気づいたのか指を抜いて此方を覗き込んできた。 「楓?」 「……紫呉さん、意地悪です。さっきから、私ばかり、恥ずかしい」 着物を掴んで胸に引き寄せると顔を埋める。 裸を見られるだけでも恥ずかしいのに、舐められたり指で広げられたり、足を開かせられたり。 羞恥心から涙が浮かんでくる。めそめそと着物で拭いていたら、紫呉が髪を掻く。 「だって楓の初めでなんだもん。すぐ終わっちゃうのも、痛い思いをさせるのも嫌だし、何回も夢に見たしヌいた行為を、時間かけたかったんだよ」 後ろから抱きしめられて、首元に顔を埋め『うー』と甘えた声を出す。 「……今日はもう、やめとくの?」 「……えっと」 指を入れられた後ろは、疼いていた。 抱きしめられて感じる、紫呉のオバケは大きく波打って硬いのも分かる。 「ねちっこいの、しないなら」 「了解!」 急にテンション高く、紫呉は嬉しそうに起き上がると何かを手で破った。 「なんですか、それ」 「ゴム。楓が妊娠したら大変だろ」 「――っばか」 と言いつつ、初めて見るスキンを凝視してしまう。 なにか、甘い香りがする。 「可愛いだろ、イチゴ味!」 「……オバケがイチゴ味……」

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