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「………あれ」 「…は…純希?」 「えっ何!?お兄ちゃん……と誰?」 三者三様の反応。ちなみにこの三者の中に会長は含まれていない。 目の前に広がるのは柚さんと見たことのない女の子が同じ机を囲んでいる光景。机の上に広げられているのは教科書、ノート、辞書…俺の勘違いでなければ2人は勉強をしていたように見える。 「………」 『…いいか?何が起きてても驚くなよ』なんて大袈裟な前振りをした張本人を振り返る。 「ただいま、我が妹よ。こいつはそこにいる家庭教師の…あー、連れだ」 1人だけ状況を理解している様子の会長のドヤ顔発言に本気で殴り倒したくなった。 ◇ ◇ ◇ 会長同様流れるような黒髪が美しい女の子は、会長の妹さんらしい。話を聞けば、今中学3年生で受験を控えてる為、塾とは別に昔からの顔見知りで頭のいい柚さんに家庭教師をして欲しいと妹さんからの頼みだったそうだ。 「柚兄の教え方すっごく分かりやすいんです。塾の先生よりよっぽど上手なの!」 「へー!すごいな、柚さん」 柚さん柚兄なんて呼ばれるのか!?可愛すぎて震えそう。 ちょうど休憩に入る時間だったらしく俺は会長の妹さんの部屋で事の真相を聞いていた。 どうして二人なのかと言えば、柚さんが笑顔で会長を呼んで二人で部屋を出て行ってしまったからだ。会長ちょっと顔が引き攣ってたけど…なんの話してるんだろ。 「もう少しで試験があるから、柚兄にも悪いなあって思ってるんですけどちょっと多めに来てもらってて…」 申し訳なさそうな妹さんのセリフに、だから最近日曜日にいない事が増えてたのかと理解できた。最近になって日曜日のバイトが増えたことが少し不思議だったが、そりゃ試験前に断れる訳がないよな。 妹さんのお陰で柚さんの行動に納得がいっていると、扉が開いて二人が戻ってきた。柚さんの後から入ってきた会長の顔は先程までのドヤ顔が嘘のように消え、魂が抜かれたようにゲッソリしている。な、何があったんだ… 「純希、今日夜家に居てくれる?」 戻ってきた柚さんはニコリと笑って俺を見下ろした。断る理由など無いし、また夜に会えることが嬉しくて俺はすぐに頷く。 …ていうか今柚さん、俺のこと純希って呼び捨てにしてくれたよな!?うわ…わ…マジか!マジかぁ〜! 俺は柚さんの感情など察せないまま初めて呼び捨てにされたことに喜び見えない尻尾を振る。 そんな俺に気の毒そうな視線を送ってくる人物に気付いて、キッと睨み返すと会長は口元をへの字に曲げた。まんまと嵌められて腹立たしいし、なんなんだその意味不明な表情は。

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