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話しの流れからでは想像が付かず、上質そうな黒い紙袋と柚さんの困ったような顔を見比べる。 「…?、?」 「…はあ。こんなベッタベタなことしようと思ったの初めてだから、なかなか上手くいかないね」 「え…これ?なん、ですか」 「開けていいよ」 俺の隣に腰掛け、ソファーに浅く腰掛けた柚さんは「むずかしいなー」なんてブツブツ呟きながらソファーの背もたれに頭を乗せて天井を見上げている。 プ、プレゼント…てことかな。でも俺、誕生日でもなんでもないんだけど一体なんのご褒美なんだろう。ていうかこの紙袋よく見たら一昨日テレビで見たブランドのやつだ!? そわそわしながら袋を開けると横に長い箱が入っていた。綺麗に包装された薄紙を破かないように丁寧に開ける。 包装紙の中から紙袋と同じ黒のケースが姿を見せて、そわそわがドキドキへと変わる。ゆっくりと深呼吸をすると隣から「まだ?」と笑われた。 「あっ、すみません…よし、開けますね」 意を決して、箱の蓋を開けると―― そこには銀色に輝くシンプルなブレスレットが2本セットされていた。 どちらも同じ色だが一方はキラキラとした鏡面仕上げで、もう一方は落ち着いた印象でツヤはない。艶消しってやつかな。 「ブレスレット…?」 「お兄さんはバングルって言ってたけどね、どっちでもいいけど」 「バングル…格好いい…!」 CMにもちょろっと映ってたから多分これ新作だ!値段は映ってなかったけど多分高かったんじゃないかな…でもなんで二本? 「純希くん、どっちが好き?」 「え!?…えーと、どっちも格好いいけど…どっちかというとキラキラしてる方が好きです…!」 「じゃあ俺は艶消しの方頂戴」 「…あの…柚さん、これは一体」 言われた通り艶消しの方を渡す。渡すときに触って分かったが艶消しが施された方は肌に当たる裏側が鏡面仕上げだった。 ってことは…と残った鏡面仕上げのバングルを手に取ると、裏側には柚さんに渡した表面と同じような艶消しが施されている。なんと乙な仕様だろう。 「……もしかして純希くん明後日なんの日か覚えてない?」 「明後日?…明後日って……」 明後日に思いを巡らして、明後日何月何日だっけと考えた瞬間、サーッと血の気が引いて行くのが分かった。 「ッハ!!?」 やばい…!柚さんのこと考え過ぎて忘れてた…!!いやこれは言い訳か…柚さんとのことなのに!明後日は大切な日だ。 大切で特別な… 「い、ち…1年記念日…」 「…忘れてたんだあー?ひどいなあ、純希くん」

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