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「純希くんは生徒会長のどこが好きなの?」 柚さんに片想いを始めてから約1ヶ月後、2人でお昼ご飯を食べているとき柚さんが不意にそんなことを聞いてきた。 「生徒会長…ですか?」 「うん。そういえば純希くんって、会長が何してるかとかは凄く詳しく教えてくれるのに、あまりそういうことは言ってこないなーと思って」 生徒会長のどこが好きかなんて… 正直俺は柚さんを苦しめる生徒会長が嫌いだ。俺にとっては憎っくき恋敵だし。 柚さんと会話をする為に、生徒会長の動向をチェックしているだけで、本来なら視界に入れたくもないような相手なのだ。そんな相手のどこが好きかなんて…難しい質問だな。 「うーん………顔、ですかね」 「顔かあ…。純希くん正直だね」 「まあ、へへ」 なんだか褒められた気がして俺は嬉しくなって照れ笑いを返す。 「…柚さんは、会長のどこが好きなんです?」 俺は自分で聞いておきながら、言った直後に後悔した。 俺は馬鹿なのか? そんなこと聞いたって辛い思いをするのは、自分なのに。 柚さんは少し考えたあと、ただ一言。 「僕も、顔…かな」 なんて答えてくれたけどそんなの嘘に決まってる。顔がタイプなんて薄っぺらい理由なわけがない。他の親衛隊の奴らならともかく柚さんはもっと違うところに魅力を感じてるんだ。 柚さんの顔を見てたら一目瞭然だよ。 困ったように笑う切ない笑顔を見て、気付くと俺は身を乗り出し柚さんの片一方の手を、自分の両手で強く握りしめていた。 「柚さん!柚さん、そんな顔しないでください。俺は、柚さんが…っ好きなんです!柚さんが生徒会長を好きなのは分かってます!でも、そんな悲しそうな顔をするくらいなら、少しだけでも俺のこと考えて笑ってください。俺、頑張って柚さんを笑わせます!だから…」 俺と、付き合ってくれませんか? 俺の突然の告白に、柚さんは大きな目をぱちぱちさせて驚いた。 当たり前だ。生徒会長の親衛隊に入っておきながら、生徒会長ではない柚さんを好きだなどとのたまわったのだから。 もしかしたら、これでもう柚さんには会えなくなるかも知れない。 付き合ってほしいなんて、図々しすぎるよな。 俺はただ柚さんの傍に居られるだけで満足だったのに――いつからこんなに欲張りになってしまったのだろう。 目を固く閉じて覚悟を決めていると、柚さんの手を握る俺の手の上に、少し冷たい手がソッと重なった。 え…?と顔を上げると俺の手に触れる柚さんが、いつもの清楚で可愛らしい笑顔を俺に向けている。 「純希くん、ありがとう。嬉しい。僕で良ければ…よろしくね?」 少し照れたように頬を染め、柚さんはニッコリと笑った。

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