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12 | yuzu side

だけど、相変わらず純希は親衛隊に入ったままだし、キス以上のことはしてこない。疑う訳じゃないが、純希の気持ちが100%こちらにあるのか確かめたくなったのだ。 「はあ…ヤリてえ…」 そんな時、ふと呟いた言葉にあいつが乗っかって来た。 「は!?…まさかお前ともあろう奴がまだ手ぇ出してないの?」 「お前と一緒にするなヤリチン。俺は可愛くて純粋な柚さんで通してんだ。こっちから手ぇ出したらおかしいだろ」 「でももう一ヶ月以上経つんじゃね?よく我慢してるね」 「だから、もうそろそろ我慢の限界なんだよ…」 もういっそ本性明かして襲ってしまおうか、そんな事まで考えるようになってきてしまっていて、本気でヤバイ。末期だ。 「仕方ねえな。お前には普段お世話になってるし、俺が一肌脱いでやるよ」 「余計な事すんな」 「いやいや、俺にしては結構いい案だと思うぜ?」 いい事を思い付いたのか、にんまり笑う生徒会長サマから話を聞いた俺は物は試しに、とそのアイデアに付き合うことにした。 …のだが。 「いや、だから、あれはつい!出来心で!柚が惚れる相手だし興味あったんだよ」 「気持ちを聞き出せとは言ったけど、肩を抱けとは言ってない。お前は興味のあるやつには片っ端から触らないと気が済まないのかこのゴミクズ野郎。その粗チンぶった切るぞ」 「誰が粗チンだ!悪かったっつってんじゃん。肩抱いたくらいでそんなマジで怒んなよ。いいじゃん。そのおかげで純希くんとエッチできたんだから」 むしろ感謝されてもいいくらいだ、と胸を張ってくる男に本気で苛立ちを感じる。 誰であろうと勝手に純希に触るなんて許せない。純希の肩を抱いていいのも、耳元に唇を寄せていいのも俺だけだ。 「まあ何にせよ、ありゃ完全に俺には興味持ってねーな。安心していいんじゃね?柚にベタ惚れだよ」 「…まあ、そこが分かっただけでもお前を生かしておく価値はあるか」 「生死に関わる問題だったのか」 目の前の男が青ざめるのを横目に、携帯が鳴ってメッセージを受信した。 【おつかれさまです!ホームルーム終わりました!柚さん今日も一緒に帰れますか?】 その下に、尻尾を振る犬のイラストにハートが乱舞しているスタンプがポンと現れる。 クス、と笑って俺はすぐに返事を打った。 【もちろん。ところで体はもう大丈夫?】 昨日は初めてだろうし優しくするつもりだったのに、健気にご奉仕してくれる純希を見たらめちゃくちゃに泣かせたくなって、いつもの調子で喉に突っ込んでしまった。あれはちょっとやり過ぎだったと今では後悔している。 でもヤバかった。 今までの奴らに関しては何も思わなかったのに、苦しそうに嗚咽を漏らす純希の顔を見るだけで堪らなく興奮した。 挿入前になって、自分が抱きたいと駄々を捏ねられても困るので腕を拘束して、半ば無理矢理、挿入。よく解したつもりだったが、やはり俺のがデカすぎるのか結構ツラそうだった。 それなのに、純希ときたら嬉しそうになんて言ったと思う? やっと1つになれましたね、だぞ。 凄まじい攻撃力の一言に、俺は一瞬でノックアウトだ。 慣れないのに頑張って俺の動きに合わせてくれようとする姿に、胸を締め付けられるような愛しさと、絶対に誰にも渡したくないという独占欲が沸いて、正直余裕が無くなった。 【全然大丈夫です!柚さん大好き!いつものとこで待ってますね】 瞬時に返ってきた返事。 大丈夫なわけがない。昨日だって数時間はベッドから立ち上がれてなかったくせに。 俺に心配をかけないように振る舞う姿がなんといじらしいことか。 「っはー!ラブラブかよ。俺もそろそろ1人に絞ろうかなー」 「勝手に見んな。お前が1人に絞れるわけねえだろ、そんな下半身ゆるゆるの癖に」 俺の携帯を覗き込んで顔を抑える生徒会長サマ。ラブラブなんて当たり前だ。 何せこの俺が初めて本気で惚れた相手で、明るく、真っ直ぐで、少し鈍い純希。そんなところも堪らなく愛おしい。 「そうだ。俺、お前に言わなきゃいけないことあったわ」 「なんだよ?改まって。柚が俺に言いたいことなんてロクなことじゃないような気もするんだけど」 あいつが机越しに俺の方へ体ごと向き直る。俺はキョトンとしているあいつに向かって純希が可愛いと褒める笑顔を向けた。 「俺、今日でお前の親衛隊抜けるから。後釜は適当に見つくろっといて」 もう生徒会長サマを好きだというカモフラージュは必要ない。 それにこれ以上純希をある種こいつの管理下に置きたくないし、親衛隊に割く時間があれば純希との時間に使いたい。 固まった生徒会長サマを横目に俺は席を立ち上がった。 ああ、早く会いたい。 かわいい純希。 俺だけの宝物。 ――大好きだよ。

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