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第19話

番になった先に、どんな未来が待つのだろう──。 恭一郎が聖の病院を訪れた数日後、恭一郎と圭はベッドの上でもつれ合っていた。 本当は圭の次のヒートを待って、その間に番になろうと計画していたのだが、それはやめて欲しいと圭の方から言ってきた。 なぜかと恭一郎が問えば、彼は「ヒート中はいろんな機能が低下してて、記憶力に自信がない」と打ち明けてくれた。 だから、今日なのだ。 大学の卒論のテーマを先に決め、圭がどこまでやれるか、恭一郎がどの部分を手伝うかの役割分担が決まった後、番になるべく肌を重ねている。 「ん……」 キスをする。 チュッと音を立てながら唇を吸うキスと、互いの口の中を舐め回すようなキスを交互に繰り返す。 圭の口の中は、ヒートではないというのに、甘かった。 食べ物の味ではなく、ヒート中に嗅いだバニラのような味で、恭一郎はついつい強く圭の舌を吸ってしまう。 「んぅ……」 圭の喉からくぐもった声が洩れると、恭一郎はキスをしながら圭が左側に垂らしている髪のゴムをするりと解いた。 弾力のある髪がハラリと広がり、枕の上に下りていく。 「なんで伸ばしてるんだ、髪?」 圭は高校生になってから、ずっと同じ髪型を保っている。 しかも髪質は艶やかでサラサラで、少しクセのある髪質である恭一郎にしてみれば、羨ましい限りだ。 「髪伸ばしてれば、いずれ女になれるんじゃないかって思ってた」 「は……?」 「バカなこと言ってるよな、俺……けど、ずっと女になりたかった……女のΩなら、まともな診察受けられるし……男のαとでもβとでも、くっついて結婚して……」 髪を伸ばすことで性別を変えたいと思うほど苦しかったのかと、恭一郎は優しいキスを一つ、圭の唇に落とした。 「男のままで構わない。それに言っただろう、お前がΩでなくても、俺達は遅かれ早かれこうなっていたと」 恭一郎は圭の薄桃色の乳首を舌で転がし、圭の半勃ちになった下半身を手の内に収めた。 「うぁっ、い、いきなり触んなって……」 「じゃあ、『触るぞ』と先に言った方がよかったのか?」 「いや、そうじゃねーけど……う、んぅ……」 亀頭の割れ目の上で指を行き来させれば、圭は腕で顔を覆ったまま、裏返った声で喘いでいる。 「顔、見せてくれ」 恭一郎が無理矢理腕をよけようとするが、圭の方が力を入れていてなかなか引き剥がせない。 「圭」 「っ、だから……まだ信じらんなくて……女じゃねーのに、こんな幸せで……」 ふっと微笑みながら、恭一郎は更なる力を込めて圭の腕をようやく引き離した。 相手は形の良い双眸を潤ませ、頬を朱に染めていた。 ヒート中でなくても、十分扇動的だ。 もっとも、Ωとして開華してしまった今だからこそ、圭のどんな表情にも煽られるのかもしれない。 「あぁ……ひぁ、ん……」 緩急をつけて竿を上下に扱きながら、時折親指の腹で裏筋を強くなぞれば、圭の身体がベッドの上でビクン──、と跳ねる。 「うぁっ、……や、もう……イきそう……」 「イけよ」 恭一郎はそんな圭の胸から腹部を口で愛撫しながら、ぶっきらぼうにそう言った。 「あ、あ……あ……あぁぁぁぁ!?」 ぬるりとした白濁がペニスの先端から滲み出ると、恭一郎はそれを手にとって一口舐めてみた。 バニラのような風味の中に、男の精の味が隠されているような感じだった。 恭一郎は達してビクビクと下腹部と内腿を引きつらせる圭の腰を大きく持ち上げ、臀部が丸見えになる位置で止めた。 「ちょ、恭一郎……何してんだよ!?」 「いいから、お前は感じていろ」 そう、ただひたすら感じていてくれれば、それだけで恭一郎は嬉しいのだ。 臀部の双丘を割って、窄みを顕わにしたところで、そこに唇を押し付ける。 前で達したせいなのか、後ろの方ももうすっかり潤っていて、軽く吸えば愛液が口の中に入ってくる。 「あぁッ、そこ……汚い……っ」 「汚くない」 恭一郎はひとしきり愛液をすすったところで、今度は舌先を尖らせて孔の内側に挿し入れてみた。 窄みはきついが、舐めているうちに少しずつ解れていくような気がする。 それに、ここもやはり甘い。 やはり圭は本物のΩとして開華したのだろう、ヒート中と同じで彼の全てが甘く、もっともっと欲しくなる。

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