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第20話

指をつぷ──、とアナルの内側に入れれば、たちまちのうちに愛液が零れ出てくる。 それを悉く舐めながら、恭一郎は指を奥へ奥へと這わせ、女性で言うところの陰核を捉えた。 「うぁッ!?」 圭の背筋に電流にも似た痺れが確かに走り、脳内に快感の二文字を叩き付け始める。 そこを弄られてしまったら、もう成す術がない。 抵抗しようと身を捩っても、脚をバタつかせても、恭一郎は絶対にやめてくれない。 「ひ、あ……うぁん……き、恭一郎……もう……」 クリトリスを擦られ、その奥の前立腺を擦られてまた達しそうになる圭だが、突然指の動きが止まって寸止めを食らった。 「恭一郎……?」 「番になるぞ、圭」 自分から「番になろう」と言い出した恭一郎だが、いざその場面に差し掛かると、思いの外物怖じしてしまった。 だが、ようやく決意が固まった。 どんな圭でも受け入れる、その思いさえ忘れなければ、この先待ち受けているどんな障壁でも乗り越えられるはずだ。 恭一郎は持ち上げていた圭の脚を自由にしてやると、彼をうつ伏せにした。 「や……怖い……」 「何が怖い?」 「何かが……変わるような気がする……俺とお前が……どうなるのか分かんねー……」 「俺も同じだ。でも、俺と番になれば、お前はもうヒートに悩まされることもなく卒論に打ち込めるし、就活だってできる。それに、何より俺のものになる」 圭は恭一郎の台詞を心の中で反芻しながら、これがΩとしての自分の未来なのだろうかと、半信半疑だった。 姉からは「大した未来は期待できない」と言われていたが、それは圭がずっと番を持たないΩであったらの話だ。 番を持てば、恭一郎が言う通り、普通の人間としての生活が送られるようになる。 だが、本当にそれでいいのだろうか。 圭にはたくさんのメリットがあるが、恭一郎にとってはデメリットの方が多いのではないだろうか。 「あ……」 うなじにチクリと刺すような痛みを感じた。 すると途端に身体がヒートに戻ったかのように、疼き始める。 どうしようもなく恭一郎が欲しくて、手を臀部に回して「ここに埋めて」とおねだりまでしてしまう。 こんな自分はどうかしていると思っても、頭と身体が連動してくれない。 「俺達はもう番になったんだ、お前のフェロモンは俺にしか向けられていないし、俺しか欲しがることはない」 「けど……なぁ、ホントにそれでよかったのか?お前なら他にいくらでも相手が……」 「俺と圭はこうなる運命だった。何度も言わせるな」 ああ、そうだったと、圭は窄みの中に恭一郎が挿り込んでくるのを奥歯を噛み締めながら感じていた。 ただ挿れられているだけなのに、彼が腰を落とす度に肉襞が擦られて気持ちがいい。 カリの部分が陰核を擦り、前立腺を擦り、最奥まで届くと、疼いた身体がたちまちのうちに満たされる。 「俺……淫乱……なのかな?」 なんだか自信がなくなってきた。 こんな風に他人を求めたことがないからこそ、Ωの性に恭一郎を巻き込んでしまっている気がして仕方がない。 「淫乱で構わない。俺の前ではな」 「……」 「どうした?」 「恭一郎ってさ……たまにハズいこと言うよね……でも、俺、もう何も隠さなくていいんだ……いつヒートが来るかとか、怯えなくていいんだ……」 嬉しさのあまり涙が零れ落ち、枕を濡らし始める。 だが恭一郎は圭の心中などお構いなしで、圭の細い腰を掴みながら抽送を始めた。 「んっ、あぁ……スゴ、おっきくなった……」 「お前が悪い」 「な、んで……?あぁッ……」 「俺がいつ恥ずかしいことを言った?俺は本心しか口にしない主義だ」 揺れる視界の中で、陰核と前立腺を狙いすましたように突かれれば、圭はたまらずベッドに肘をついて上体を支え、顎を上げる。 「はぁぁんッ……」 どうしようもない快楽、止まない抽送。 精液ではない何かが、放出されようとしている。 「き、恭一郎……ちょっと……抜いて!」 「なぜだ?」 「なんか……出そう……」 恭一郎が素直に一物を取り出した瞬間、圭の臀部から放物線を描くように透明な体液が飛び散った。 いわゆる潮吹きというやつで、吹いている圭は上半身を強張らせながら震えている。 この現象は、2人の身体の相性がよくないと見られないものだった。

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