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家庭教師と僕 2
僕は、青井 十和。高校2年生。部活はサッカー部に入っている。
今は中間テストの一週間前なので、部活動は停止している。そのため五時間目が終わると速攻家に帰り、勉強することにした。
中間テストを乗り切らなければ、部活に参加できない。赤点なんて取った日には、一週間の補習地獄だ。
「うーん……やっぱり英語がなぁ……」
僕は英語が苦手だった。日本人なんだから、英語なんていらないだろと心のなかで毒づいていた。
マンションのエレベーターで三階まで登り、部屋の前で鍵を開けようとする。
「十和?」
「あ、十和ちゃーん!」
聞きなれた声が聞こえる。隣に住む昴と要だ。二人とは幼馴染みで、よく遊んでいた。二人が大学に進んでからもお互いの家によく遊びにいっている。
「昴、要……」
「十和、元気ないな?どうした?」
昴は心配そうな顔をする。
「うん、実は……今度、中間テストがあるんだけど、英語が全然できなくてさ」
「十和ちゃん、英語苦手?」
「中学の時も引っ掛かってたな」
「うん……」
僕がうつ向いていると、要は閃いたといわんばかりに指をパチンと鳴らす。
「じゃあさ、俺らが家庭教師してやるよ!」
「え!本当に!」
「まぁ、英語はある意味俺らの母国語だしな」
二人はアメリカ人の父と日本人の母の間に生まれた、ハーフだ。小さい頃から英語に触れてるから、高校英語も楽々に解けるはずだ。
「昴と要が教えてくれるなら、中間テストも乗り切れそう!ありがとう!」
僕は嬉しくて、要に抱きつく。
「もう……十和ちゃんったら、そんなに抱きつくと……」
要はそこで言葉を切る。
「……?要?」
不思議に思って、要を見上げる。僕の背は170センチと別に低くないけど、要も昴も190センチくらいの高身長なので見上げる姿勢になってしまう。
「何でもなーい!」
要はニコニコとしながら、僕にお返しと言って抱きついてきた。
「要、そんなに抱きつくな。十和が潰れる」
昴は真面目な顔で、僕と要を引き離した。
「そんなに小さくないよ!」
「そうそう、十和ちゃんは強い子だもんねー」
要は面白がって頭を撫でてくる。
「子供扱いすんなよ!」
「十和、勉強するんだろ?俺たちの部屋にくるか?ノートとかもあるし」
そうだ。勉強するんだった。要に遊ばれてて忘れてた。
早速、二人の部屋にお邪魔することにした。
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