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家庭教師と僕 3
「俺の部屋で勉強するか?」
うーん、確かに要よりも昴の方がノートちゃんと取ってそうだし……。
「じゃあ、昴の部屋で!」
「十和ちゃん…今、昴の方がちゃんと勉強教えてくれそうとか思ったでしょ?」
「え!?そんなことないよ!」
思わず声が裏返った。
「ちょー失礼じゃん!」
要が拗ねていると、昴は自分の部屋を開けて、「どうぞ」と入れてくれた。
昴の部屋は整理整頓が行き届いており、机の上もとても綺麗だった。
一方、要の部屋はゲームやマンガが散らかっていて、下手すると足の踏み場がないときもある。
双子でこんなに違うんだなぁ…と思いながら、昴の部屋に入り、勉強机の椅子に座る。
「よし、じゃあ始めるか」
昴は僕の問題集に目を通しながら、教えてくれる。
「ここって過去形の動詞?」
「そう、過去形のranが入る」
昴は教え方が丁寧だ。順路立てて教えてくれるから分かりやすい。
「高校英語とか懐かしいなぁ」
要が僕の教科書を見ながら呟く。
「要も勉強してただろ?」
「英語はノー勉でいけたから、勉強してませーん」
「えー、何かズルい」
「英語なんて感覚感覚。赤ちゃんでも話せちゃうんだから」
昴と違い、要はちょっと適当。前に勉強を見てもらったときは、感覚で覚えろとかそんな感じだったので、結局昴に教えてもらった。
昴曰く、「要は教えるという才能がない」という。
それでも二人とも頭がいいから、羨ましい。
一時間くらい勉強したところで、昴が「ちょっと休憩するか」と言ってくれた。
「お茶淹れてくる」と昴は部屋を離れた。
「要と昴って似てるようで似てないよな」
「そう?」
「うん。昴はしっかり者のお兄さんって感じするけど、要は自由奔放っていうか適当っていうか」
「十和ちゃん、俺に対してのイメージひどくない!?」
傷ついたーと要は泣き真似をする。そこに昴がお茶とクッキーを盆にのせて持ってきた。
「おまたせ」
「昴、ありがとう!」
昴は僕の顔を見ると、軽く笑って、頭を撫でる。
昴は要と違って、あんまり笑わない。無表情で怖いって言われるけど、僕は昴が色んな表情を持ってるのを知ってる。
お茶を飲もうと、コップに口をつけようとすると、ポケットが震えた。スマホを見ると、電話だ。
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