4 / 7

家庭教師と僕 3

「俺の部屋で勉強するか?」 うーん、確かに要よりも昴の方がノートちゃんと取ってそうだし……。 「じゃあ、昴の部屋で!」 「十和ちゃん…今、昴の方がちゃんと勉強教えてくれそうとか思ったでしょ?」 「え!?そんなことないよ!」 思わず声が裏返った。 「ちょー失礼じゃん!」 要が拗ねていると、昴は自分の部屋を開けて、「どうぞ」と入れてくれた。 昴の部屋は整理整頓が行き届いており、机の上もとても綺麗だった。 一方、要の部屋はゲームやマンガが散らかっていて、下手すると足の踏み場がないときもある。 双子でこんなに違うんだなぁ…と思いながら、昴の部屋に入り、勉強机の椅子に座る。 「よし、じゃあ始めるか」 昴は僕の問題集に目を通しながら、教えてくれる。 「ここって過去形の動詞?」 「そう、過去形のranが入る」 昴は教え方が丁寧だ。順路立てて教えてくれるから分かりやすい。 「高校英語とか懐かしいなぁ」 要が僕の教科書を見ながら呟く。 「要も勉強してただろ?」 「英語はノー勉でいけたから、勉強してませーん」 「えー、何かズルい」 「英語なんて感覚感覚。赤ちゃんでも話せちゃうんだから」 昴と違い、要はちょっと適当。前に勉強を見てもらったときは、感覚で覚えろとかそんな感じだったので、結局昴に教えてもらった。 昴曰く、「要は教えるという才能がない」という。 それでも二人とも頭がいいから、羨ましい。 一時間くらい勉強したところで、昴が「ちょっと休憩するか」と言ってくれた。 「お茶淹れてくる」と昴は部屋を離れた。 「要と昴って似てるようで似てないよな」 「そう?」 「うん。昴はしっかり者のお兄さんって感じするけど、要は自由奔放っていうか適当っていうか」 「十和ちゃん、俺に対してのイメージひどくない!?」 傷ついたーと要は泣き真似をする。そこに昴がお茶とクッキーを盆にのせて持ってきた。 「おまたせ」 「昴、ありがとう!」 昴は僕の顔を見ると、軽く笑って、頭を撫でる。 昴は要と違って、あんまり笑わない。無表情で怖いって言われるけど、僕は昴が色んな表情を持ってるのを知ってる。 お茶を飲もうと、コップに口をつけようとすると、ポケットが震えた。スマホを見ると、電話だ。

ともだちにシェアしよう!