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こんなことして、いいはずがない。
目の前の人間をネタにマスターベイションなんて。
―――バレたら、気まずい。
気不味いなんてもんじゃない。そもそも、この間のアレだって、切っ掛けは一史の自慰だった。買ったばかりの玩具を、試したいと思った。それが原因なのに。
アンダーシャツのナイロンが、筋肉を隆起させている。滑らかな肌触りが背筋の形に凹凸している。
ーーーここで、擦ったら気持ちいいかな。
変態的な思考が正常な判断を阻害する。
「ン、く、」
目の前の背中の感触を想像しながら果てたばかりの亀頭を扱く。
じんじんと、痛いような痒いような、長時間の正座に痺れた足みたいな感覚が亀頭にたまってく。唇を噛んで遣り過ごしながら目の前がチカチカする。
―――まずい、まずい、まずい、
痛いし、取り返しがつかない自覚があるのに手が止まらない。腰が揺れる。晴人にされたときみたいに本能に抗えない。掌で亀頭を撫でる。痺れる感覚が脳を浮かす。
「ふぁ、」
間の抜けた声が唇を割る。尻の穴の奥がモゾモゾする。疼きながら濡れてくる。
こんなこと、なかったのに。
一度深追いしすぎた潮噴きが怖くて射精《イッ》たあとまで扱くとか、したことなかったのに。アナルが、前立腺か疼いても、その更に奥が切なくなるなんて、なかったのに。
ーーー侵されちゃったせいだ。
あの感覚が忘れられない。
「ハゥ、ン、ぁ」
頤が跳ね上がる。腰がつき上がって陰茎の根本に溜まったぐるぐるが突き上げてくる。
―――あぁ、ダメ、だめ、だめ。
シャツじゃ抑えきれない量のが溢れてしまう。飛沫をあげて噴き出してしまう。だめだと思いながら、念じながら晴人の背中にぶちまけたい。ぶちまけて、
ーーー気付いたら、また、侵してくれる?
「ッア、」
プシャ、
跳ね出た水量は微かで、その数滴が晴人のアンダーシャツに触れた。
「は、ぁ、」
荒い息を吐きながら再認識した願望に放心する。
やっぱり、自分の躰は作り替えられてしまったようだ。あんな、躰の奥まで抉るセックスを欲している、なんて。
―――酷いこと、された。
こんな躰じゃ、晴人なしじゃ 生きていけない。
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