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アンダーシャツを脱ぐと一史はやっぱり息を詰めてじっと見てくる。視線でそれを感じる。頭を抜いて脱ぎ捨てる。被らない目線が、俺の腹に当たる。
「触っても、良いですか」
おずおずと問いながら、返答の前に手が伸びてきている。骨張って節の高い指はどう見ても男のもので、見違えることはない。
「ん……」
「ぅ、あ」
触れるか触れないかの感触で指先は胸の中心に触れる。とん、と、小さく突くように触れて、遠慮がちに掌全体が覆う。心臓の真上。鼓動しているのが伝わる。ひんやりとした掌が、自分の体温に温もっていく。
「心臓、ばくばくしてますね」
噛んで確かめるように一史は言葉を吐く。セックスで動じない男はたぶんいない。掌が心臓を撫でて、腹の中心を撫でる。ナベルの形をなぞって、更に下腹部に触れる。
「俺、ずっと格好いいと思ってたんですよ、晴人さんの身体」
筋張ってて、細いのに、筋肉質で。
恍惚めいた吐息が肌に触れる。やっぱり、一史はセックスできる身体を求めているんだと、思ってしまう。それならば、それで。
「そんなに欲しければやるよ」
肉のない下腹部を撫でていた手が止まる。臍の下から、更のその下部まで続いた下生えを、その掌が潰している。
「他人じゃ満足できないくらい、抱き潰してやるから」
から、
から、なんだ?その先の言葉は。言いたい言葉は。身体をやる。快楽をやる。その代償に、俺が求めているものはなんだ。
わかりきった答えに気がつかないフリをして押さえ付けて、じっと。じっと、自分を見つめる一史の唇を覆った。乾いていると思っていたのに、しっとりと湿っていた。
唇を割って舌を差し入れる。一史の口中は既に唾液で一杯だった。逃げる舌を絡める。下腹部でためらっている手を掴み、自分の下着の中に招く。
一史の指が勃起した性器に触れる。ひくと、指先が一瞬避ける。避けて、おずおずと撫でる。
「ン、」
ざらついた肌の感触がする。
「しゃぶって」
耳元で囁いた声に一史は小さく頷く。
躊躇いながら、一史の頭が晴人の下腹部へ移動する。心臓の音が聞こえそうなほどの興奮に紅潮した顔。指先が下着から晴人の性器を露出させる。
反り返った一物は自分のものとはいえ、グロテスクだった。
「……くち、ですか?」
問う声が興奮に上ずっている。本当は口でするのも好きなんだろう。普段、俺と話すその口で、他の誰かのモノを咥えたのか。考えるだけでまた、酷くしたい衝動に刈られる。その頭を付かんで咥え込ませて無理矢理、喉を穿つような。
そんな暴虐をしてしまいたくなる。
「ん。口で」
ぎりぎり堪えた欲求の名残が掌に残る、撓んだ黒髪と小振りな頭骨の感触。滑らせると、女とは違う、肉の薄い輪郭が従順に晴人の股間に踞る。戦慄く唇の狭間から差し出した舌が震えている。震えながら起立した性器の先端に触れる。亀頭の括れに触れた感触が曖昧で、腰骨に響く。湿った布地に撫でられたようだった。
「ん、ふ……」
鼻を通る息が音を持って鈴口を撫でる。こそばゆい感覚に先端がじんわりと潤った。
くきゅと、喉をならす。躊躇いがちに舌を口の中にしまい、ふるりと身体を震わせる。右手で一史の髪を撫でる。いっこうに進捗しない状態に左手で自分の竿を支えた。
「自分から脱いだんだから、イイってことだろ?」
「ん、」
閉じられた唇に先端をすり付ける。先走りが塗りつけられて唇がテカった。おずおずと開いたまぶたの隙間、潤んだ瞳がこちらを見る。何を考えているか、わからない。
差し出された舌が鈴口を撫でて、上唇が先を少し食む。歯列の狭間に一史の熱を感じる。感じるのに、先端だけが熱くて露出した部分が焦れったい。
もっと、根本まで全部咥え込め。喉の奥を蠕動させて扱いて欲しい。
上も下も全部、俺で埋めてしまいたい。
「んぐっ!」
両頬を押して無理矢理に口を開かせる。そのまま、押し込めるだけ押し込んだ。
「ぐぅっ」
えずいた瞬間、喉の奥が動いて締め付けられる。狭くなる。喉の上、柔いところを先端で突く。喉の奥が何度も蠢いて、締め付ける。
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