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乱暴された突起は震えながら唾液にてかっていた。
短く荒く息をしながらやっぱり一史は顔を見せてはくれない。重ねた腕の下、半ば開いた唇が薄闇の中で喘いでる。
「うぁ、」
ウェストを引き掴んだ腕を一史の手が阻んだ。潤んだ瞳が晴人の前に晒される。
「抜くんだろ」
脅すような、説くような声が月明かりの部屋に響く。
お前が一人でしようとしていたことを手伝うだけだ。
そんなニュアンスを含んで言葉を作る。一史は黙る。
言葉を探している。
断るつもりか、逃げるつもりかわからない。
「ぅ、あ。」
言葉が唇から零れる前に下着ごとスウェットを下ろした。すでにしとど濡れた亀頭が精液にまみれたままでぬらついている。根元が持ち上がり、ひくひくと竿が揺れている。半勃起していた。
「乳首が感じるって言わされて、噛まれて、また勃起したのかよ」
スウェットのゴムをチンポの根本まで下ろし、タマを押さえる位置に弾き置いた。
「くゥっ」
たいした痛みでもないはずなのに一史は鳴く。もっと啼かせたい。声が嗄れるくらい啼かせたい。
「俺が知らないと思った?」
くたりと半ば力無い半端な勃起チンポに指を這わせる。観念したのか、それとも抵抗なのか再び腕が交差のままその顔を隠すから、他方の手で重なった場所を捕らえた。
「ひ、う」
そのままずらして頭上に押さえつける。一史の、喉が震える。
隆起した喉仏に噛みつく。ごりと、音がして、ぐうと、喉が鳴った。
「風呂場でアナニーしてるのも、押し入れにエロいオモチャしまってるのも、知ってるよ」
歌うような声で語り聞かせながら、再び血液を集め、起立を始めたチンポを手の中で擦ってやる。しまっていた両足は脱力して自然に開く。
「ん、ふ、ふっ、」
腰骨から下衣を引きずり下ろす。汗ばんだ全裸体が恥じらって震えた。指先で内腿をなぜる。ひくと震える。タマの輪郭を辿る。視線に反り返ったチンポがくくっ、くくっと頭を動かす。
「はぁっ!ンゥっ……」
先端の割れ目に指をあてがい、くるくると尿道口の縁を周回する。一史はもどかしそうに口を嗣ぐんで腰を揺らした。眉間に寄った皺。縫い付けた両腕。閉じた睫毛の振動。
全部が。
苛めたい、を加速させる。
「ンいっ、ひン、んんんっ」
人差し指の腹でアナを丹念に撫でる。撫でて、たっぷり蜜が溢れたら、とんとんと、軽く叩いてやる。精液で潤んでいたそこは新しい先走りでねちゃつき、糸を引いて卑猥だった。
「凄いな、またすぐ射精 くんじゃね?」
耳元で囁くと首筋に寒いぼが立つのが見えた。くぅ、と喉が鳴ってまた、とぷと、新しい先走りが溢れる。
「他人に射精 されるのは、どんな感じ?」
強張りながら腰が浮く。無意識に浮かせた腰が、チンポを突き上げさせる。くりくりと先端を撫でまわしてビクビクと震える腰を腹で押さえつけた。
「んくぁ!」
嬲られて赤くなった乳首を乳輪ごと口に含む。
「あ、や、はると、さん、はるとさん、」
乳首に歯を引っ掛けると一層先走りが増した。たらたらと溢れる蜜は竿を支える晴人の手を濡らす。無意識に揺れる腰が踊るようにくねった。
「折角手伝ってるんだ、遠慮しないで射精 けよ」
「ひ、あ。」
喋りながら咥えると不規則に歯や舌の柔いのやらが乳首をかする。
「りょ、ほ、は、だめ、です、だめ、あぁ」
悲痛めいた哀願の声が堪らない。
「あぁっ!」
ちゅぬ、
竿を包んでいた手を擦らせて滑り落とす。ビクビクビクと一史は痙攣する。
「ふぁあ」
下から擦りあげる。
腰が引けてひくひくと震える。
ちゅぬ、ちゅく、ちゅっちっ。
上下する度に一史の体は痙攣を繰り返す。
「はぁ、あっあっ」
かくかくする腰の頂で反り返ったチンポが切なげに泣いていた。
「ひいんっ」
きゅうと握って輪を締める。睫毛が濡れて輝いた。
手を離し、掌で先端を撫でる。
「ふぁ、あ、あ、」
目も口も開いたままで、一史は膝を立てる。強張った爪先が下肢を浮かせた。
「イきそう?」
「ふはっ、あ、あ、あ」
押さえ込まれたまま舌を突き出して喘ぐ。強く撫でられたチンポは右には左にと頭を振った。
「イけ、ない、イケない……これ、イケない、です……っ」
頭ん中、真っ白になったみたいに素直な言葉が唇を割って迸る。亀頭への刺激はかなり強いが射精口を塞がれる愛撫は上手く射精出来なくて苦しいのだろう。
「乳首噛んだら射精 けそう?」
「ちが、おねが、も、許して、あつい、」
射精できない原因を知っていて責め立てる。
幼子のように遮二無二頭を振って一史は懇願する。
「熱い?」
「………あつい、チンコ、あっつい」
ひぐ、としゃくりあげて唇を震わすから愛おしさが込み上げる。
「ふぅん?」
「ぴぎっ!」
パチンと指先で弾いた瞬間、一史の腰が落ちた。同時にピシャッと飛沫いたものが晴人の手にかかる。
「あ、あ、ごめ、なさ、ごめんなさい、ごめんなさい……」
ピシャッ、ピシャッ。
断続的な飛沫は透明で一史の腹や胸、顔にまでかかる。
堪えきれずに顔を逸らしたのは潮を噴いてしまった恥ずかしさからなのか、痴態を観察される快感からなのか、一史自身にも判らなかった。
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