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息が荒くなる。無意味に躯が、気持ちが急く。ファスナを下げて、下着をずらすだけで、反り返った性器がまろび出る。
「っは、」
息が熱い。一史の目がそれを見ている。この関係がどう変わるかなんて判らない。判らないけど、目の前に置かれた据え膳を我慢できるほど理性は、固くない。
好きだとか、愛してるだとか。嘘でもオタメゴカシでもいい、口にできたらいいのだけれど、生憎、晴人にとってそれは、自分の感情を理解できていないのに簡単に言えるような言葉じゃない。
自分のチンコを握った手が先走りで濡れているのか、別のもので濡れているのかわからない。支えた手がぬちゃつく。
はっ、はっ、はっ、と短く続く息は誰の呼吸だろう。どこか遠い出来事めいていて一史の目をみた。
俺の性器に注がれていた視線が、上向く。かちりと合わさる。淡く開いた唇が生きている。震えている。何も、言わない。
永遠にも似たコンマ秒の瞬間。
閉じられた唇。息を呑み込む、刹那。
「ンぅぅぅうっ!!」
「ぅあ。」
柔い肉が、俺の性器を包む。指なんかの感覚と比じゃない熱が亀頭を包み込んで吸い付く。
「やべぇっ、これっ」
「ひ、んんっ、」
柔い。のに、カリ環をキツく締め付けられる。ひくひくと痙攣するように弛んだり、締め付けたりを繰り返しながら、ゆっくりと馴染んでくる。
初めてじゃないのかもしれない。
そんなの本当は大した問題じゃない。俺だって、筆下ろしじゃない。何度だって女を抱いた。同じ腕で、同じ唇で、同じペニスで、
なのに。
なのに。
「っ、は」
込み上げる劣情と赤黒い嫉妬が腹の奥底から息を吐かせる。食らい付いた下唇に歯を立てる。血袋の裂ける感触。鉄の味。舌で掬って、きゅっとソコが強張ったのを性器で感じた。
「ン、ァァァッ!」
締め付けが、ペニスの付け根へ向かって移動する。半ばが括れらた辺りで、深く息を吐いた。逃れるように反った躯。壁に頭が接近している。
短く荒い息が、今だ繰り返し、部屋の中を満たす。竿の中程までを飲み込んだ場所は無惨に拡がって、俺と一史が繋がっているのが……俺が一史を侵しているのが薄暗い屋内ではっきりと見えていた。
息を整える。拘束を解かれた一史はまるで唯一の救済が、俺であるかのように、背中に腕を回してしがみついた。
合意もない、愛情かどうかも判らない、そんな行為の中で俺に縋る。
まるで、恋人みたいに。まるでそこに、愛情があるみたいに。
本当は、この腕は俺以外を求めているのかもしれない。俺以外にこうして縋り付いて、笑いながら、照れながら、それでも幸福なキモチで同じ行為をしたのかもしれない。
そんな、妄想にすら、
俺以外、なんて、許せるはずがない。
「ひあぁぁっ!」
亀頭に、肉壁が当たる。でも、その更に奥が、欲しい。一番奥にごりごりと頭を押し付ける。一史の体が逃れようとずり上がる。
「あ、ひ、ぁ……」
拙い呼吸。
腰の括れを両手でつかむ。滑って、うまく掴めなくて逃げそうで引き寄せる。
「ぁ、ぐ………」
もう少し。
奥まで、侵入 りたい。押し付ける。開かれた足が畳を蹴って一史の体が、逃げる。
逃がしたく、ない。
「あ、や、だ、やです………ふか、ひ………」
懇願が俺の目に写る。
開いた目が真っ直ぐにこちらを見据える。見据えて、しがみついた腕の力を強くする。逃げた末に、壁にごちと頭がぶつかる。
「や、ア、ア、ア!むり、無理無理ぃ」
最奥がさらに奥に進むことを阻む。
押し付けて、腰を掴んで更に奥に進めようとする。
「や、くる、し……」
見開いた目からバラバラと涙が落ちる。
目尻を溢れて、蟀谷を通る。その涙を、唇で吸う。舌先が潤う。愛おしいは溢れだすのに、もっと奥まで自分を刻みたい狂暴に駆られる。
舌舐めずりして、一史の腰を掴み直す。
縋ってくる肩に唇を落とす。吸い付いた肌が赤く染まる。そこに向けて口を開く。
汗ばんで塩っぽい、肌。
「いっっ………ア゛ア゛っ!」
噛みついた瞬間に一瞬弛緩した。その隙を突いて腰を深く沈める。ごりりと、骨を削るような感覚があった。性器の先端が、ぐりと、曲がって壁だと思っていた穴を無理矢理にこじ開けた。
「ア、かっ、あふっ……」
無理矢理こじ開けた奥が、ひくひくと痙攣する。括約筋の締め付けと合間って堪らなくなる。
「こんなに深いとこまで、侵されたこと、あるか?」
耳元で囁く声に一史は首を振る。 すがり付く力が強くなって、小さく小さく俺の胸に顔を埋めた。
「ない、です……ないです」
許しを請うようなその言葉に浅ましい優越感が腹を満たす。
一番、一番深い場所は、俺だけしか、知らない。
その事実が、腹の奥を温かくする。
「そうか。」
「ひ、んっ」
曲がったそこから腰を引く。一度穿たれて、侵入を許した場所は、ひくつきながら俺の亀頭の先で震えていた。
「この奥に、孕むくらい種付けしたい」
お前の初めてなら、何でも欲しいと思うのは強欲なんだろうか。
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