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それからは、バイクなんて弄る時間は無くなったけれど、小さな怪獣と真面目で融通が利かないが、俺には甘い年下の友達が俺の世界の中心になった。 「緑、多分おむつが濡れてるんだと思うだが、変えて貰っていいか?」 炒飯を作っていたら、椿がぎゃんぎゃんと泣きだした。 土曜の昼は、緑は朝からやってくるから俺はお礼に炒飯を作ってやるのが日課になってきたある日。 「はい。椿くん、失礼しますねー」 緑がにこにことおむつを剥がしていたので、俺は小さく「あ」と叫んだ。 「ダメだ! 緑、ちゃんと中を確認し」 「え」 その瞬間、オムツが剥がれ開放的になった椿は、そのまままだ出ていなかったものを発射した。 ぴゅ―っと真っ直ぐに飛んでいくソレは、緑の眼鏡にかかって、ポタポタと落ちていった。 「つ、椿くん!!」 「ぎゃははは! だから言ったじゃんか! ちゃんと出てるか確認してからって」 炒飯の火を止めて、緑にタオルを投げつけた。 「洗ってこいよ、俺が変えとく」 「――御言葉に甘えて」  椿の洗礼を受けた緑に未だ爆笑しながら、椿のオムツを変える。 平和で、誰かと空間を分かち合うって楽しくて仕方なかった。 「太陽さん、炒飯美味しくなりましたね」 「そ?」 「卵かちゃんと混ざってるし、焼き肉のたれで味付けしてくれてるし」 炒飯を焼き肉のタレで味付けするのは、親父さんからのアドバイスだった。 男料理とは、野菜と肉をとりあえず焼き肉のタレで味付けすれば失敗しないらしい。 緑みたいに繊細な味付けの肉じゃがとかは作れそうにない。 「あーあ。お前が女だったら良かったのに」 「ぶほっ」 「汚ねーな。よく噛んで食べろよ」 御茶を鼻から噴き出した緑にティッシュを渡しながら、俺は椿のミルクの続きをやる。 「俺は、太陽さんなら性別なんて関係ないです」 「そうかぁ? お前が女だったら結婚できたじゃん。椿だってお前が母さんなら幸せだぜ?」 「結婚……したいですか? 太陽さんはやっぱ」 急に尻尾や耳がしぼんだ犬みたいに緑が落ち込んだ声で言う。 「わかんね――。女って一夜だけの付き合いなら割り切れるけど、一生となると気が滅入りそう」 「一夜だけとか割り切るとか、太陽さんの口から聞きたくない言葉です」 「人の顔で勝手にイメージ持つな、こら」 今まで特定の彼女なんて居なかった。――だから馨と結婚してたらきっと興味なんてもつ事もなく椿の父親だけを真っ当出来たと思う。

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