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四言、椿姫を探せ。

「あ、もしもし? クソジジイ、生きてるか?」 椿はミルクから完全に離乳食へ移り、夜泣きも減り、 おまけにふらふらしながらも歩き始めもうすぐ一歳の誕生日。 俺は全く帰っていなかった実家のクソジジイに、そういえば椿の事を言ってなかった事を思い出した。 『忙しい時に何だ。このバカが』 相変わらず口が悪い60近いクソジジイは、なかなか死にそうにない元気な声で、思わず舌打ちしそうだ。 「忙しいって、『フラワー華野』なんてだっさい花屋に客なんか来ねーだろ」 『ぎっくり腰で寝てて痛いんじゃ! 用件がないならぶち殺すぞ! クソガキが!』 切れたジジイが叫ぶので仕方なしに電話を椿に渡す。 「椿、ほら電話だぞ」 「あーぅ あ?」 あーぅとか何くそ可愛いんですけど。 「じーじぃ死ねって言ってやれ。あ、初めて喋る言葉は『パパ』な」 意味が分かっていない椿は携帯をむしゃむしゃ食べだした。 防水ではあるが流石に心配になったので携帯を取り上げて、拭くと耳に近付けた。 「どうだ」 『何だ、お前、鼻息が荒いな』 「鼻息じゃねーよ。今、携帯を噛んでたのは息子の椿だ。エンジェル椿だ」 『あ?』 じじいが入れ歯でも入れ忘れたような魂が抜けたような声を出す。 「もうすぐ一歳になる子供がいるんだ。連休取れたら遊びに帰ってやるよ」 じじいが椿を見ても尚、頑固なクソジジイで居られるか見物だ。 案外、曾孫にデレデレしたりして。 『こんのクソガキがぁぁぁぁぁぁぁ! てめーは自分の母親がどんな親だったか忘れたのか! ああん? 思い出させてやろうか!』 「まぁ、ブチぎれるわな、帰る帰る。そんなに大声出すと、腰に響くぞ」 『もう響いてるわ! このクソ野郎がっ』 爺の血管が切れかねないのですぐさま電話は切った。 しょうがないから、今度の土日に帰ってやろうかと思う。

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