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五
「興奮してくれてるんですか?」
「わからん」
プリンの蓋を開けながら素っ気なくそう答えると、緑の後ろから抱きつく手に力が込められる。
「意地悪ですよね」
「あー? 今日は気分が良いからいちゃいちゃしてやろうと思ってたが、お前のその態度。どうしようかな」
「……だってプリンの次だし」
「椿とプリンの次だとしても、三番目だから喜べ」
キシシと笑うと、後ろから俺の顔を覗きこんできた。
ちょっと俺より背が高いからって、むかつくな。
「まぁ、待て。――プリンを食べた俺とのキスは甘いぞ」
「どんな太陽でも甘いです。じゃあ、ずっと待てしてますから。『よし』を早く言ってくださいね」
そう言うや否や、後ろからずーっと俺を見ている。
プリンを食べる唇をずっと、見つめてくる。
プリンぐらいゆっくり落ち着いて食べたかったのに、こいつは本当に……。
甘いキスをくれてやろう。プリンの甘さを舌に乗せて絡めて味あわせてやる。
でも、優しくしてやんない。
お前の理性、ぶっ壊してやる。
「ん、美味かった」
いつも食べる三つで150円じゃない。一つ210円の大事なプリン。
だから、ゆっくり食べえれなかったお礼は存分にしてやる。
「――よし」
そい言って眼鏡を奪うと荒々しくキスして誘ってやった。
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