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今にも泣き出しそうな緑の姿。 「ありがとうございます。親父さん。また明日電話します」 そう電話を切った後、緑を睨み付けながら近づいていく。 そんな反省した姿しても、俺はすぐには許してなんか……。 「太陽……」 「…………」 「ごめんなさい……」 「…………」 無言で通り過ぎようとしたら腕を捕まえられた。 「離せっ」 「違っ 違うんですっ 例の派遣会社、倒産しちゃうんです」 「――――は?」 まて。 『ごめんなさい』って、ラブホ事件での焼きもちではなくて? そっちの話? よく見ると緑の手には茶封筒が握られている。 「向こうの会社側が騙して多く取っていた分を取り返して来ました。でもそれがバレたから事件になる前にと会社事逃げられました」 「まぁ悪は散ったんなら良いんじゃねーの?」 「だってお爺さん、腰が悪くて派遣しか仕事できないのに。仕事自体を奪ってしまって」 そう苦悩する緑に面食らってしまう。 こいつ、真面目すぎだろ……。 「お前、良いことしたくて派遣会社に乗り込んだわけじゃねーだろ?」 「良いこと……」 「俺が相談したから、俺の為なんだろ? じゃあ、俺が嬉しいんだからお前は気にする必要ねーんだ。分かるか?」 泣きそうだった緑は、少し考える。 「理屈で考えんなって。俺が良いって言ってんだからいいの。偽善事業じゃねーの。おまえはおれ俺の為なの。クソジジイの事なんかで悩むな」 「男前ですね、太陽は」 「当たり前だ。この真面目クソ野郎」 フンっと腕組みして睨むと、不安そうにしていた緑がやっと肩の力を抜く。 こいつ、こんなんでよくもまあ俺を押し倒そうとラブホに行きたがるよな。 俺が押し倒してやる方がお似合いだ。 「でも、だ。俺はまだお前を怒ってるぞ。靴でも舐めさせてやりたいぐらい」

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