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「ぱぱ?」 「好きなお菓子でも描いたんじゃね? お前、甘いもの好きだし」 誤魔化す。 誤魔化すというより、もう忘れてしまいたい。 無かったことにしたいんだ。 「ほれ、はやく描いてオヤツにすんぞ。ドーナツ買って来てるんだ」 「やった! えきまえのぎょうれつてん?」 「ああ。行列店だ」 一体何処でそんな言葉を覚えてくるのか分からねーが。 椿は俺に似て、甘いものが好きなようだ。 ドーナツと、身長を伸ばすために牛乳を飲まそう。 「ぱぱは、ちあきせんせいにはなたばつくってあげるの?」 「ああ。それぐらいしか出来ることないからな」 「じーじが、ぱぱのはなたばは、だいなみっくでびゅーてぃふるっていってたもんね」 「っち。あのじじい、生意気に英語で感想なんぞ言いやがって」 「おれもぱぱのはなたばすきだよ」 そう言われると、もう何だか他はどうでもよくなって来る。 「かわいいな。ちゅーしてやろうか」 「えのじゃましないで」 ぴしゃりと椿にそう言われ、ちょっと俺は寂しい。 もっと構ってくれてもいいじゃねーか。 仕方が無いから、俺も花束を作るか。 千秋みたいな、ピンクと赤可愛い花束を。 真っ赤な薔薇だけは、旦那がいるんだから使うのを止めようと思うけど。 爺さんが亡くなってもう4年か。 癌だから長引くと病院代やら高く着いただろうから、あっけなく死んじまって……。 全く悲しむ間もなかった! 死んだら、くそじじいの借金が出てくる出てくる出てくる。 びっくりするぐらい、くそじじいもこの店も借金だらけだったから驚いた。

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