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十六言、毎日。
カチャカチャと食器にスプーンが当たる音が響く。
「あの、親父……お代わりは?」
「要らん」
椿がどうしたらいいのか困惑した表情を浮かべている。
それは、椿の隣に勝手に座り一緒にカレーを食べている寒田のせいだろう。
『椿くんは私の甥でもあるので、そう接していきますので!』
そう強気に言われたが、それは椿が決める事だから俺が預かりしる事ではないから知らん。
「でも親父、最近仕事ばかりであんま食べてないだろ」
「んな事ねーよ。お前がお昼におにぎり出したろ」
「今日はサンドイッチだったよ……」
何を食べたのかも覚えてないのかと言わんばかりの冷ややかな目で椿が俺を見る。
すっかり可愛くなくイケメンになりやがってっ。
「分かった分かった。取り合えずクリスマスの打ち合わせがいっぱいあるんだよ」
「詰め込みすぎんなよっ」
「それはお前が管理しろ!」
俺は自分の限界がよく分からないんだからな。
「……威張るなよ」
椿は不服そうだ。
「椿くんは、ご飯上手ですね」
「え、あ、いや、でも、親父よりは上手いかな?」
普段、クールだの表情が変わらないだの言われてる椿がちょっと照れてる。
親の俺から言えば、めっちゃ嬉しそうに笑っている。
寒田も変わった。
もっと表情豊かだったのに、ちょっと機械みたいだ。
仕事人間になっちまったのか、初な真面目大学生が嘘だったのか。
なんか……もやもやする。
寒田と椿が笑いあってる光景が異質に感じて、気持ち悪い。
――気持ち悪い。
消えてくんないかな、こいつ。
今さら、同じ位置まで戻れるわけねーんだからさ。
むしゃくしゃして、ホームページに来ていた依頼を全部承諾した。
クリスマス前のリースや花束、ホテルのロビーのクリスマスバージョンのデザインまで全て。
全てだ。
仕事に追われるクリスマスは毎度の事だから慣れている。
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