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カサカサの唇同士が重なっても、冷たい感触にしかならない。 冷たい、甘くもないキス。 舌を入れるような熱情はない。 ただ押し付ける。今の俺らみたいに。 ただただ気持ちを押し付けあうだけの交わらない感情を反発させながら押し付ける。 「俺の心はもうお前を要らないみたいだけど。――身体は満足させてくれるなら抱かせてやるよ。後ろからじゃなくて……俺の好きな体位や、気持ちいい場所、お前なら忘れてねーだろ?」 さっき女を抱いた身体で、こいつに抱かれるなんて。 最高に狂っていて最高に面白い。 冷たい手を掴んで、俺の身体に押し付ける。 まだ反応していない場所に導くと、誘うような吐息を首筋に吐きかけてやった。 「――っ帰ります!」 まるで、未経験の純粋なふりをした嘘つき野郎は、鼻と目と耳を真っ赤にして、 泣き出しそうな悲しい顔をして去っていく。 バラバラになった俺の心の溜飲が少し下がっただけの、意味のない時間。

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