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バイクを弄るのより花を美しく飾るのが好きなのは天職かジジイの血か。 夢中になりすぎて、気づいたら手の皮が剥げていた。 仕方なくゴム手袋二枚重ねて仕事をするが流石に痛い。 気づくまでは痛くなかったのに、いざ傷を見ると痛くなる。 なんて都合の良いというか自分が可哀想で一番大切な、嫌な野郎だろうか。 KENNという男はまだ現れないからストレスは溜まったままだった。 ただ、毎日うちの花屋に現れる『田沼』という男が、実はKENNの実父だったらしい。 椿に謝罪をしに来た。 田沼の肩書きがどーたら言っていたが、俺には全く興味が無かった。凄い奴らしい。 田沼の話だと、KENNはキャバ嬢との間にできた隠し子で、虐待されて育ったらしい。 田沼の財産目当てに産んだ子故に、愛を知らないと。 そんな奴が俺が愛して愛してちゅっちゅちゅーな椿に執着するなんて。 KENNは一体どんな奴なんだろうか? やっと目の上のたんこぶ野郎が居なくなったし、 仕事に集中しすぎたせいか、指先はボロボロだし。 仕方ねぇから薔薇の刺を裂く仕事は、手が痛すだから止めて椿が帰ったらやってもらおう。 指先の絆創膏を張り替えて、テーピングしてからゴム手袋をはめようとしていた。 ガンガンとシャッターを開けようとする無礼な音がした。 椿がいない時はほぼ閉めているシャッターを、たまたま面倒で半分しか閉めていなかった時だ。 「おい、今日は店では売る花はねーんだけど」 仕方なくそう言ったのに、シャッターは上まで全部上げられてしまった。 「おい、おいってば」 立ち上がってその無礼な客を蹴飛ばそうとしたんだが頭一個分背の高い大男は、またシャッターを下ろして此方を振り返った。 「よう、つば」 その男が椿と呼ぼうとして笑ったその顔は、一瞬ぽかんと俺を見つめた。

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