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家に着いて、バイクを止めるとすぐにバイクから降りて、KENNと距離を取る。 そして、ヘルメットを思い切り投げつけた。 「じゃあな、もう二度とデートなんか誘うなよ。鳥肌が暫くは取れん」 「意地悪言わないで。――何度でも誘うに決まってるだろ」 「やべ。今の台詞で俺の回りの温度が5度は下がった。死ぬから帰ろう」 静かに、椿が起きないようにシャッターを開けると、KENNが俺に聞こえるような大きな舌打ちをしやがった。 俺が全然振り向きもしないから、とうとう本性を出しやがったな。 上等だ。ぶっ殺してやる。 握りこぶしに力を込めたが、KENNからの反応は予想とは違っていた。 「じゃあ、俺と恋愛しましょーよ」 は? 恋愛しましょーよ? 「身体から恋愛したいなら、身体からでも良いけど、それは心もくれるって条件だからな」 いや、お前の意見を勝手におしつけるなってーの。 「じゃあな、おやすみ。太陽」 「あ、待て。てめぇ、呼び捨てなんかしてんじゃねーぞ」 やっぱり一回ぐらい殴ってやろうかと振り返ると、とっととバイクで去って行った。 謎だ。最期まで、良く分からん、掴めない奴だった。 というか、変な奴だ。 バイクの音が遠ざかって行くのに、まだ耳に残っている気がして、何だか苛々する。 姿も、バイクの音が消えても、苛々だけは消えなかった。 また来る、と言いながらいつ来るかも言わなかった。 本当にまた来るのかと思うと、苛々はするものの頭の隅であいつじゃないかと過ってしまうのか。 ――めちゃくちゃ悔しい。 二度と来るな。くそ。

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