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十四
にっこりと笑う。
笑うけどさ。
「嘘をつくな! バレバレなんだってーの!」
怒鳴り散らすが寒田は怯えもせず笑顔も崩さない。
「俺が本当の事を言っても、太陽さんは何も信じないから好きに判断して下さい。全部嘘だと思っても構いません」
こいつ。
こいつ、開き直りやがった!
つまり俺に好かれたいと思う気持ちは無くなったんだな。
……無くなったのか。
無くなったのかな。
「どうしました? 寂しそうな顔をしてますが」
「は!? 寂しいわけねーだろ!! 四回ぐらい死ねよ!」
近くにあったKENNの新曲が入ったCDーROMを投げつけながら『ばーか』と言い捨てて2階へ上がる。
ただの義理から俺と馨を会わせようとしてくれているなら、馨の墓さえ分かればもう会いに来ないかもしれない。
だったら馨とは18年ぶりだし、豪華な花束を作ろう。
寒田は知らん。半日ぐらい待たせよう。仕事じゃねぇとか言ってるし。
二階にはリースや花束を作った残りカスみたいな、切り落とした花しか残っていなかった。
仕方ないから余っているリボンを集めてクルクルと何回か巻いた後に、ハサミで切り込みを入れて花を作っていく。
年の数だけ作ってやろう。
ちょきちょきとハサミで切り込みを入れていたら、漸く椿から電話がかけ直してきた。
『どうしたの?』
1コールで繋がった電話に、俺が何か言うよ り早くそう切り出された。
「さっさとこのくそ野郎を迎えに来い! 仕事を遅らせるとか自分は行かなくても良いとかうぜぇ。こんな奴と同じ空間に居るのも耐えられねー」
携帯が壊れそうなぐらい怒鳴ってやった。
『や、仮にもマネージャーがそんないい加減な台詞言うはずないと』
「言ってるんだよ! 話にならねーよ!」
『……………』
椿も言葉を詰まらせた。
だが次に椿から返ってきた言葉は意外な言葉だった。
『俺もう切るよ、親父」
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