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十九

だが、俺も不器用だ。 恋愛なんて忘れてしまった。 相手を憎むなんて疲れるだけなのに。 ――許し方も忘れてしまったんだから。 俺を押し倒していた腕が視界に入る。 それを掴むと、寒田の目を見ながら、舌で下から舐め上げた。 ぴりぴりと苦渋の顔をする寒田が面白くて。 親指を口に含むと、理性がキレた寒田が圧し掛かって来た。 青い、青い空を見上げながら、寒田の体重を感じて目を閉じた。 安っぽい愛の言葉もない、身体だけが正直にお互いを求めあうだけの行為。 「ドア。閉めろよ」 足で背中を蹴る。すると振り返りもせずにスライドさせた。 視線は俺から意地でも離さないらしい。 ――18年見せていなかった身体を、服を捲られながら曝け出す。 何も用意していないので、何度も舌で中を濡らされたけれど、受け入れるには苦痛を伴った。 まるでセックスも知らない処女みたいに、痛みしか感じない。 どんどん入ってくる熱が、中で先走りのおかげがぬるぬると動けるようになったら、反転した視界が大きく揺れた。 やっぱ受け止める方が快楽は大きい分、負担は大きいなと思いながら、 その快感を味わって、貪った。

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