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Side緑。
名字で呼ばれると、俺の名前が緑だと忘れてしまいそうになる。
貴方に呼ばれない名前なんて、鋏でめちゃくちゃに
切り刻んで捨ててしまいたい。
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「いいですね。お互い、大人の対応をするんですよ? 喧嘩なんてインタビュー中にしても、それはマスコミに踊らされるだけなんですからね」
「はいはーい。うっせーな。椿も居るんだから、そうそうキレねーよ」
黒のTシャツにジーンズというラフな格好に、髪を後ろに縛り、サングラスをかけて、
綺麗だ美人だと持て囃される顔を隠し、男を前面に出す今日の雷也のコーディネートは、KENNを意識しているようにも見える。
ずっと共演がNGだった二人が漸くOKになり、始めて共演した音楽番組は視聴率が跳ね上がったらしい。
余裕でニヤニヤ笑うKENNに面倒くさそうに対応する雷也。
一体どっちに問題があって共演がNGだったのかと噂されているが、
KENNが雷也を抱こうとしていたのが理由なんだと声を大にして言いたい。
「やっぱ、何で俺、雷也なんて抱こうとしてたか分からねーや」
KENNがマネージャーにそう耳打ちしているのを聞いて、振り返る。
撮影スタジオに入り、椿君が雷也の世話を甲斐甲斐しくしている様子を眺めていた時だ。
「雷也より、椿ちゃんより、――極上に綺麗な人がいるのに」
後ろから、挑発的に言われた。
はっきりと俺に言われているのだと分かった。
振り返った俺に自信満々に微笑みかけながら。
「そう思うだろ? 堅物のアンタも」
「男を食い漁る貴方もそう思いますか」
隣のマネージャーの制止も無視して、KENNは俺の方へ歩いてきた。
俺も、特に表情を変えないが睨みつける。愛想笑いはしない。
「俺は、――太陽の気持ちが分かる。まるで探していた片割れの様に。俺達は同じ気持ちを共有して生きていける」
俺にしか分からないように、そう言いのけた。
前髪を掻き上げながら、そう。
「アンタに傷付けられても、この世界に必死でしがみ付いて生きてる、壊れてしまいそうな口の悪い極上の美人。アンタが元カレさんか」
「何でばれたか――は聞かないことにしますが、貴方には勿体ない人なのでちょっかいをかけるのは止めて下さいね」
「残り香だよ。アンタが太陽を抱いた日に、可哀想に泣けもしないで太陽は一人で俺を探してた」
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