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PM:20:00 思いっきり開けると、生花がそのまま入れられたままになっている。 段ボールを確認すると、朝届いたばかりの様だ。 朝と言えば、椿が全部対応して、慌ててそのまま雷也たちのスタジオに見学に行ってしまった。 俺は、ただただ一階で仕事に没頭しててやっとさっき缶ビールを手にして落ちつけたんだ。 まじか。 嫌な予感は、的中する。 パソコンの仕事内容と、壁のカレンダーに書かれた仕事の件数が一致しなかった。 結婚記念日用の花束と、ホワイトデー用の花束。 合計7件。 ――明日の朝、バイク便で送ればぎりぎり間に合うか間に合わないか。 「まじか」 仕事に専念しすぎて、スケジュール管理を椿にまかせっきりだった俺のミスだ。 椿は、自分の仕事を前倒しして、今朝の撮影に向かった。 きっと、俺が後から引き受けた仕事は、パソコンに打ち込んだがカレンダーには書かなかったんでろう。 「仕方ねぇな」 酒はお預けだ。 昨日、徹夜で花束を作った指先は、既に切れてボロボロだったが俺が悪い。 よれよれになった花をすぐに水を入れたバケツに浸しながら、誰が手伝えそうな友人を片っ端から連絡してみる。 だが、今日は土曜日で。 36歳にもなると同級生どもは家族持ちばかり。 しかもホワイトデー一日前。 誰一人、掴まらなかった。唯一、親父さんだけが仕事が終わり次第駆けつけてくれると言ってくれたけど。 朝、バイク便の予約をしたがぎりぎり9時間もねぇ。 間に合うか――。 携帯の電話帳を見ながら、一人だけ連絡してない奴がいた。 今日の主役で、きっと今頃、打ち上げ中の男。 駄目だ。絶対に来れないだろう。 携帯を置くと、俺は鋏を握り締めた。 大丈夫だ。 俺一人で出来るところまで――。

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