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十二
ぽいぽいと脱いで、ボクサーパンツ一枚で胡坐を掻いてベットに座る。
服は脱いだ、じゃなくて部屋に入ったと同時に廊下に脱ぎ棄ててきた。
KENNは、上の服を脱がないままベットに入って来た。
「お前、ここ一日幾らで泊ってるんだよ」
「さあ?」
「家は?」
「俺、15で家を出てから自分のモノなんてそんなもってねーから、家なんて欲しくないし、煩わしいし、ファンに荒らされたりストーカーされたり、男と遊ぶから、此処を宛がわれてんの」
「そうか」
複雑な家だと言う事はしっていたが、本人はもうそれで当り前だと思っているならそれでいい。
「俺の背中、見ても引くなよ」
「引かねーよ。勿体ぶらずに、さっさと脱げ」
足で蹴ると、KENNはベット付近の電気を消して行く。
何部屋あるかわからねーし、この寝室なんて、俺の三階建ての部屋を全て並べても足りないんじゃないかと思うぐらい広い。
パサリと、KENNが服を脱ぐと、外からの淡い光で、うっすらと身体が浮かび上がって行く。背中を向けて敢えて見せようとはして来ない。
KENNが、俺と向かい合うように座るとポツリと言った。
「女親に虐待されてたのは本当だが、小五ぐらいからは体格が逆転した。いつものように、お前なんか産まなければ良かったと、煙草を押しつける女を、力いっぱい殴った。後にも先にも、女を殴ったのはあれだけだけど、ぶっ飛んで壁にぶつかる女親を見て、弱いと呆れてしまったな」
フッと思い出したように唇は笑うが、目は全く笑っていなかった。
「女親が男を連れ込んで、ヤッてる姿をガキの頃から見てたから、女の嬌声とか本当に吐き気がするぐらい嫌いだし、女なんかに興奮しねえ。背中の傷も、疼くし痛みは消えない」
「ふん。そうだろうな。親が最低だと、子供は強く生きるしかない。誰も助けてくれなかったから、お前もちょっと擦れたガキになっただけだろ」
そう言うと、KENNは目を丸くした。
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