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十六

身体と身体で会話している。 本当に一つになるような、一つになってしまったような居心地の悪いセックスだった。 こんな激しく相手を求めたことなんて、きっと今まで、そしてこれからもないだろう。 求めた、じゃなくて殺したいぐらい憎いのかもしれない。 だが、煙草臭い、苦いキスが、甘く甘く感じる。 嘘のくせに。 俺が好きじゃない。 俺を組み敷いて屈服させたいだけの、嘘の癖に。 俺が欲しいのは、こんな甘い嘘じゃない。 苦くて甘く、貪欲に求めあう、キスだ。 「愛してる、太陽。どうか、俺を――」 アイシテ――。 消えそうなほど小さな声だった。 そのままイく瞬間、きつくきつく首を締めつけられた。 気持ちいいと一瞬、その痛みが俺を興奮させているようにも感じて、それを否定したくて、KENNの背中に腕を回すと、どこもかしこも傷だらけのその背中に俺の傷跡を色濃く残してやった。

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