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半分。

ウロウロしていた俺に緑の部屋を教えてくれたのは、先ほど俺に蹴られた雷也だった。 俺が海からこのホテルへ入って来るのを待ち構えていたらしい。 「寒田の部屋の鍵」 「お前、少しは使えるじゃん」 カードキーを貰うと、雷也にそう言った後、釘を刺す。 「だけど、お前は椿を泣かせまくりそうだから、まだ認めてやらねーぜ?」 「泣かせたら、二倍は幸せにしてやってるよ」 ――二倍、ねえ。 雷也も椿も、傷つくことなんか怖くねぇて顔して、全身でぶつかっていっている。 俺たちとは大違いだ。 傷付きたくなくて嘘を吐いた俺達とは。 ノックもせずにカードキーを差し込んだ部屋には、淡いベットサイドの光しか灯っていなかった。 きちんとソファに畳まれて置かれたシャツやハンガーに掛けられたスーツ。 真面目な緑の性格がそのまま部屋に現れていた。 「寝るの本当に早いな」 ベットに腰をかけた瞬間、腕を引っ張られた。 何で来たのかと、悲痛な顔で俺を見る。 その痛々しい顔が堪らなく愛おしいんだ。 それが俺の隠していた気持ちで、もう隠しようもない真実だ。 傷つけて傷つけられて、憎んで憎まれて。 それを俺は望んでいたんだ。 「18年前の怒りがぶっ飛んじまったよ。緑の愛のお陰かな」 クスクスと笑うと、緑の唇が震えていた。それを必死で唇を噛みしめて隠す。 「俺達、両思いだけど、でもこれ以上は居られないって分かってるだろ?」 俺のその言葉に、緑は小さく息を飲んだ。 上手にさよならを言おうと思う。 それが俺が沖縄まで緑を追いかけてきた理由だ。 本当に――好きだったら、もう解放してやっていいんじゃねーだろうか。 「太陽」 力ない声で俺の名前を呼ぶと、緑は力一杯俺を抱きしめた。 「俺も――俺もです。貴方の本当の幸せを考えたら、俺はもう貴方に会うべきじゃないとずっと答えは出ていました」

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