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「何だよ、それ。じゃあ、なんでエッチしちゃったんだよ、俺ら」 「身体だけでもとか、貴方が俺を必要としてくれたから――縋ってしまいました」 馬鹿正直にそんな事言う緑が愛おしい。 昔の、18年前の頃の気持ちとは違う形になった思いが、俺の心を満たしていく。 今の俺なら、許せていた。お前のそのちっぽけな一生を賭けた嘘を。 今の満たされている俺なら許せる。 余裕が無かったガキの俺では無理だったけど。 「もし、太陽が許してくれても、きっと駄目になってたと思います。どこかでお互い後ろめたい部分や疑う気持ちが生まれて。それは抱き合うだけじゃ隠せない」 「お前を本当に幸せにしたいと思う。だから、――言う。もう終わりにしよう」 好きで素直になれず傷付いた月日を、もう埋めてもいいのではないだろうか。 もう、止まっていた時間を動き出しても良いと思う。 「俺、雷也のマネージャーを引退して本格的に経営の方へ回ろうと思っているんです。仕事に逃げるみたいで嫌だから渋ってましたが――でももう決めました」 「じゃあ、数年後には社長か。すげー」 「KENNをスポットライトの下に引きずり降ろしてやります」 俺の背中を強く抱きしめながら、キリキリと歯を食いしばる緑はなかなか可愛い奴だと思った。 だが、これも伝えてやっとかなきゃいけない。 「あんま、アイツいじめてやるなよ。いじめて良いのは、俺だけなんだから」 格好いい、年下の俺様ワンコ。 「俺達が擦れ違った18年も長かったけど、――あいつは27年一人で馬鹿やってたんだ」 甘え方も上手だが、距離を取るのも上手な、馬鹿。 甘やかして甘やかして、麻薬の様にその甘さに虜になった餌を痛みつけてしまって傷付いてる馬鹿。 ――背中も心も不器用な傷だらけの馬鹿。 「あんなに迷ってたのに、KENNと何があって吹っ切れて此処まで来たんですか?」 「あはは。あいつが、俺は絶対選ばれないって笑ってやがったからむかついたんだよ」 三人で不器用なんだから嫌になってしまう。 「償いをさせてくれないか? 緑」 「償い?」 「お前を18年、拒絶していた償いを」 そう妖しく笑って誘うと、緑は躊躇して視線を泳がせる。 「俺の18年間、知りたくない?」 バイクに乗っては女を引っかけていた俺の、馬鹿みたいな時間と、 お前の18年かんを、今、もう一度重ねてみようじゃねーか。

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