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三人で愛しましょーかね。
どっちの腕で抱いてもらおうか。
強勢ばっか張って生きてきた。
人気絶好調の女優の隠し子として、どうして生まれてしまったのか邪魔な存在だったと理解した時から、俺は多分、ずっと捻くれている。
自分から、生きにくい世界にしてしまったんだろう。
綺麗に生まれた見た目は、貞操観念を軽くしてくれた。
緑と別れてから――簡単にお手軽な一夜の相手が誘えたから。
誰でも良かったなら、――別に緑でも良かった。
本気じゃなかったんだ。
椿の子育てに利用しただけだと、俺は緑との思い出も強がって汚そうとしていたんだ。
喧嘩ならできる。
罵声も、拒絶もできる。
嫌いと表現することは楽だ。
そいつの気持ちに左右されず、悩まず、空気の様に思えば、自分が傷つくことはないから。
俺はそうやって生きてきたんだ。
感情を誰にも見せないで一人で。
言わない俺の悲鳴は、花束の中に散らばった。
どんなに嘘を吐いたって、――気持ちは何処からかか溢れてしまうんだろうな。
緑が好きだった。
いや、まだ好きだ。
ごちゃごちゃ考えないですんだ18年前の、俺と椿と緑ならば、俺は素直に言えただろうか。
嘘は嫌いだと、嘘は許せないと一番憤っていたはずの俺が、
傷付きたくなくて、嘘の中に隠れていたんだ。
甘くない、嘘の中で。
自分が泊まる予定の部屋の番号を忘れてしまった俺は、KENNの元に戻るのに時間が掛ってしまった。
ちょっと緑に手こずったし。
ノックしてすぐに扉が開いたから、きっとKENNも待っててくれたんだと思う。
ドアを開けたら、窓が開放されているのにも関わらず、煙草の匂いが充満していた。
「遅かったな」
KENNはそう呟くように言った。
「ああ。緑がなかなか歩いてくれなくてさ」
「あ?」
「三人でヤろうぜ」
俺がそう言うと、目を見開いたKENNと呆れて首を振る緑の二人が、対照的で笑ってしまいそうだった。
いや、にんまり笑ってしまった。
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