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二
「それは、魅力的すぎて土下座して頼んでみたいことではあるけど」
「お前ならそう言うと思ってた」
「でも俺は、太陽だけが帰って来て愛を囁いてくれると思ってたんだけど?」
こんなにKENNが動揺しているのを初めてみてしまった。
意外だ。けれど、楽しい。
「俺、こんな奴なんだよ。あんま、この身体を大切にしているわけでもないし、嘘ばっか付いて逃げる癖に、他人の嘘には傷付くし。だから、本当の俺を知って、お前らに嫌われようかなって」
緑を引きずりこんで、そのままベットへと向かう。
ちょっとだけ、胸が弾んでいたのは内緒にしよう。
36年生きてきた、今最高にスリルが気持ちいいと体が疼いていた。
身体を、肌を、温もりを重ねる行為に。
必要なのは愛だけではない。
「来いよ。傷つけたお詫びに、――二人に何でもしてやるぜ?」
溜息を付いて、煙草を灰皿に押し付けたKENNがそのままベットに片足を乗せた。
「まあ、いっか。昔の男に、太陽が喘ぐ姿を見せるって楽しそうだよな」
挑発的にそう言うと、ちらりと視線を緑へ向けた。
KENNは、優しい奴だと思う。
俺の馬鹿みたいな挑発に、乗っかってくれた。
「そこで見てるだけでも良いけど、――KENNの背中の傷痕を見て良いのは俺だけだからな」
KENNの背中に腕を回してそう言ったら、緑も観念したようにネクタイを解いた。
「最後まで可能性はあるってことですね」
「可能性?」
「暴力的にな愛より、――気持ちよくさせてあげますよ。太陽」
解いたネクタイが俺の視界で止まった。
「肌で感じて下さいね」
ネクタイで目隠しされたら、それだけで、しわじわと背中が甘く痺れていった。
「――んっ」
最初にキスしてきたのは、KENNだった。
啄むような、探って来るような、くすぐったいキス。
苦い煙草の味がしたのですぐに分かった。
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