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十二

その言葉に、太陽は簡単に揺れました。 弱ってしまっている今、――同じ立場になった今、太陽は俺の胸の痛みを理解して、同調してしまっただけにすぎないけれど。 どれでも、彼は俺の為に心を痛めてくれました。 そして、あの時の俺の様に弱気になっています。 会いに行くのが怖い、逃げだしたい、嫌われたくないから、このまま時間が経てばと、思っている。 KENNもそうなのかもしれない。 そう思ってわざと手放したのかも。 本当に太陽が好きだから、だから、太陽の幸せは自分と居ることではないと。 彼も――彼も自分の過去から払拭できない、人間らしい一面もあるんだ。 「……会ってくれないかもしれねぇ。俺も緑と会おうとしなかった」 後悔は、後悔しか呼ばず、不安は脳内から身体中へと駆け廻る。 俺は太陽の頬を軽く叩いた。軽く叩いたつもりでも、バチンと良い音がして。 「み、どり」 「俺はあの時、誰かに引っ張られても、殴られても、引きずられても、貴方に会いに行くべきでした。18年前の俺に今、平手打ちをしたことを許して下さい」 ポカンとする太陽の手を引いて、チケットを購入する。 丁度あと1時間後に最終便が出る。 太陽はきっと、運にも恵まれているのか。 二人を神が応援しているようにも感じた。 「向こうに着いたら、うちの会社の車を待機させておきます」 「みどり」 「彼らにも、太陽を無理矢理乗せるように言っておきますから、もう貴方は逃げられませんよ。覚悟を決めて下さい」 「緑!」 チケットを渡すと、大粒の涙を溜めた太陽が、大声で俺の名前を呼ぶ。 何人の人から注目されても、真っ直ぐに俺の名前を。 「俺は――お前を18年前に拒絶したんだ。これ以上、もういいから。俺の事ちゃんと嫌いになれよ! 傷つけて最低だって罵ってくれよ」 悪者になりたい太陽は――懸命に大声で叫んだけれど、 俺は彼の細い右手にチケットを無理矢理押しつけて抱きしめた。 「今までありがとう、太陽。俺は貴方を好きになって後悔はしていません」 抱きしめた細い太陽の身体は震えていた。 「いつか、いつの日か、俺との思い出で傷付くばかりじゃなくて楽しかった思い出も蘇ってくれたらそれでいい。KENNと幸せに」

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