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色々な考えが頭を過ったが、それを全て頭から振りはらい、忌々しく舌打ちしながら通話ボタンを押す。 「何だよ」 『今度、太陽に酷いことしたら許しませんよ』 「説教か、うぜーな。まあ、仲直りできたんだろ?」 電話なんかせずにさっさとお楽しみしてれば良かったのに。 『俺じゃ涙を止めて上げられませんでした』 「…………は?」 『今、貴方のいるスタジオの入り口にもう太陽は居ると思いますよ』 ――は? 「KENNさん、その携帯俺のです!」 気づけば、携帯を強く握り締めていた。 止めてなかったら、壊していただろう。 下に居る――。 太陽が? 何で俺の所に。 寒田の方が幸せになるのに。 俺は――俺は駄目だ。 求めすぎて、自分をセーブできなくなる。 お前を抱き壊してしまうかもしれない。 こんな時でさえ、まだ自分が選ばれる自信がないから、笑っちまう。 「KENNさん?」 「で、そのクソアイドルが仕事の終わるのあと何時?」 「く!? 今、KENNさんのCDのプロモの話をラジオでして下さってるんですよ? あと、一時間はかかるんじゃないですかね」 一時間、か。 「それより、今の話、少し聞こえたんですが、良いんですか? 誰か下で待ってるならスタジオの中に入って頂いても」 「いいよ。一時間で――諦めてくれた方が俺も救われる」 一時間も出て来なかったら、きっと諦めて帰ってしまうだろう。 それで、寒田が慰めて御終いにしよう。 俺の方から欲しくて手を出した。 届かないと思っていたから、こっちを見てくれたのは嬉しいけど。 何回も駄目な男に振りまわさてちゃ、お前が幸せになれねーんだから。 これで、いい。 だが――……。

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