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八
「そ。だから、歪な俺らって二人で一人なんじゃねー?」
一人でいたら、誰かを傷つける存在にしかならないような、自分の勝ちを否定してしまいそうな、馬鹿。
だから、俺はKENNがいい。
抱きあって一つになって、――お互いを埋め会って補いたい。
「それって、俺の事超愛してるってことでいい?」
「ああ。いいよ、だから、抱け」
本当に溶け合って一人になってしまうぐらい、激しく。
お前の背中の傷なんて、俺が笑い飛ばしてやるから。
こんな馬鹿な俺の傍にいてくれ。
KENNの、頭を撫でた。
KENNの鋭い瞳を守る瞼をなぞる。
キスすると、ぶつかりそうになる高い鼻も、
――分厚くてセクシーな唇も。
全部、全部、俺を愛すために作られたんだよ。
俺を形成していた身体も、――EKNNを癒せれたらいいのに。
お互いの身体をペタペタと触りあいながら、形を知る。
体温を知る。
止められない熱く込み上げてくる衝動を――知る。
そのまま、俺とKENNは、生まれて初めてするような、ぎこちないキスをして、
ゆっくりとベットに沈んでいく。
いっぱい迷って、いっぱい泣いて。
何処で間違えたのか、――あの時どうしてこんなことしか出来なかったのか。
自分の嫌な所しか思い出さなくて苦しくなるけど。
今度こそ、見失わないようにしよう。
今度こそ、信じて見よう。
心と心が共鳴して、離したくないと身体がお互いを求めあうような、
そんな気持ちもあるんだってことを。
色んな気持ちを踏みにじってきたり、自分の心を守るために利用してきたくせに、
愛しい人の小さな嘘で18年も自分を見失うような馬鹿な自分の弱い心も。
受け止めて、抱き締めて。
これからは、壊さないように。
壊れないように。
どんな嘘も、信じていこうって。
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