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「貴方のそんな幸せそうな顔を見られるのなら――俺は身を引いて正解だったと今は心が和らいでいます。俺まで嬉しい」 「何を言ってるんだ。お前はもともとストレートだし、もうすぐ芸能事務所の社長だし、まだ36歳だろ。お前も幸せにならなきゃ――俺がホッとできねーよ」 「ふったのは太陽ですよ」 「――っ。だ、から、心配してんだよ。お互い、遠回りばかりしたから」 こうして、緑と普通に会話できるのは、嬉しい様な切なくなるような胸を抉られる不思議な気持ちになる。 ただ、緑がまた穏やかに笑うようになったのは、俺から解放されたからだと信じている。 「俺は、例えまた誰かを好きになれても、太陽は大切ですし、椿君は俺の大切な甥っこです」 「サンキュ」 「……太陽も。感謝してもしきれません」 しっとりした雰囲気の中、見つめていたら、入り口でノックされた。 「あのさ、もう入っていい?」 「KENN」 怒ったようなオーラだが、これは拗ねてる。 緑に敵意を滲みだしているが、ただ拗ねているだけなのが垣間見えると、笑ってしまいそうになる。 「失礼します。もう喧嘩して太陽を置いて行くとか止めて下さいね」 「うるせえ」 「次あったら、返しませんから」 ふふんと緑が笑うが、その笑顔からは吹っ切れた様子が伺える。 そのまま振り返らずに店から出て行ってしまう。 「見つめ合っちゃって、やーらーしー」 「ガキか。緑とはもう何もねえよ。ただの友達――」 友達に戻れたらいいな、と今はそう思う。 椿の数少ない血の分けた親戚なのだから。 「まあ、俺ももう手放さないからいいけどね?」 ちゅっと軽く啄むようなキスをすると、そのまま肩を抱かれて下まで降りて行く。

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